同居人が顔面の良さと色気爆走させてる【赤井秀一】続編

22 ページ22

意識が朦朧とする中

わたしは彼の目を見て確かに何かを感じた。


その冷え込んだ冷酷な目

人を殺すことに躊躇などないと言うような

平気で何人もの人を殺してきた事を物語るような



そんな、


悲しい目を見て


私は何かを思った。


その時の私は意識がうまくなかった為か

何を言ったのかはあまり覚えてない。
今でも、なんとなくしか思い出せない。



沢山喋った後、ジンは


目を見開いて、わたしの頭を軽く撫でてきた。


その行動にジンも、驚いている様子だった。



そのあとウォッカが部屋に入ってきて




「予定変更だ
　こいつを解放する」


「はぁ！？、なんで！？」


「必要な時にまた回収すれば良いだろ
　何か意見するなら殺すぞ、ウォッカ」




腑に落ちない表情を浮かべるウォッカを背に
ジンは部屋から出て行った。


「そいつに手ぇだしてみろ
　躊躇なくおまえの脳天に風穴を開けてやる」


そう言い残して。




私はまた眠ってしまった。

さっきより、もっともっと深い眠りだった。


.

.

.


.

,

.





次に気づいた時には

わたしは外にいた。



見覚えのある桜の木の下で
わたしは目が覚めた。




「あ、れ....」



その時、始業式が終わってから家に帰宅している途中から
今目覚めるまでの記憶が私の中から綺麗さっぱり抜けてしまっていた。



「なんでこんな所で寝てんだろ...」



月の光がキラキラと

狂い咲きの桜を照らしている。





その中、腕に痛みを感じた。

目を向ければ包帯が巻かれている。


それを見て、とても気分が悪くなった。


動悸が激しくなって、頭痛が襲ってきた。



何か、計り知れない怖い出来事があったのだと言う事だけは分かった。




けど、思い出せない。それ以外なにも、思い出せない。




桜の花びらが散る中、私はその木のふもとで
頭を押さえ、うぅ...っと唸っていた。



ーーーそう、その時だ






「どうした、気分でも悪いのか」



突然、視界に移る大柄な男に

私は体を大きく跳ねさせ、体を震わせた。




「どうしてこんな所にいる？家出か？」




「.....あ、...いや....」




その男は酷く怯える私の表情を見て
何か悟った。





「......大丈夫だ。
　大丈夫、もう大丈夫だ」



優しい音色を発して
彼はソッとわたしの手を握った。




「大丈夫、大丈夫だ」





まるでおまじないを唱えるように

彼は何度も言った。

23→←21

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す