15 ページ15
全部嘘だった
付き合ってもなければ
なんの関係でもなくて
ただ遊ばれてただけだった。
「おまえには、宮野明美という 心に決めた女がいたんじゃないのか」
「誰なの...その人」
私は赤井さんの何を見てたのだろう。
なんで、彼の全てを知れた気がしたんだろう。
あの時の私は
全てを彼に差し出し、共に笑い合う権利が
私にのみあるのだと、そう思っていた。
「全然、知らないじゃん...私」
イライラする
足元に暗闇が広がっていて
少し踏み外しただけでそのまま呑み込まれてしまいそうだ。
「家....帰りたくない」
今までこの家に帰るために何もかもが頑張れた。
なのに今は.....。
「俺んち部屋余ってるしさ。気分転換になると思うぜ」
快斗の言葉を思い出し、
携帯電話を取り出した。
「もしもし、快斗？」
.
.
.
快斗との電話を切り
工藤邸の重い扉を開けた。
リビングへ向かうも
昴さんの姿はなくて。
「......完全に避けられてるやん」
靴はあったから家にはいるはず。
部屋にいるんだろうな。
私は拳を力一杯握り、唾をゴクリと呑んだ。
そして、二階へ続く階段を登る。
昴さんの部屋の前へ立つと
妙な動きで心臓が跳ねる。
「......何を期待してるんだろ」
期待と不安が、私の心臓をジリジリと針で刺すような。
「あの...赤井さん」
震えた手でノックをすれば
「...はい？」
と、短い返答だけが返ってくる。
「開けてください、話があります」
そう言うと、暫くしてその扉がゆっくりと開く。
「なんでしょう？」
「......」
どうしてそんなに平然とした顔をするの。
「....中、入っても良いですか？」
きっと涙目だ。
でも彼はそんな私を見ても動じない。
心配するそぶりもない。
「どうぞ」
整理整頓された部屋。
人の気持ちは部屋に現れるというけど
実際、私の部屋は現在、ぐちゃぐちゃに散らかってるし。
そんなの当たってるとか当たってないとか、そんなんじゃなくて
今の私には
この綺麗に整理整頓された部屋が
鼻につく。
彼の余裕ぶった表情も
そのいつもより低い声のトーンも
今はその一つ一つが、鼻につく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 800人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
色 - おぉ!!!すごく素敵です!!あ、完結ありがとうございます!!文に癖がなく読みやすいかつキュン死にしそうな心情のあらわし方!!私もジンがコナンの中で一番好きなので絡みがあったのがすごく嬉しかったです!! (7月25日 21時) (
レス) @page44 id: 9c759aa54d (このIDを非表示/違反報告)
夢 - わー！完結本当におめでとうございます！最後までビックリするくらい素晴らしい作品でした…♡次回作も楽しみにします！何度でも、何度でも、この作品を見返します！！！ (5月31日 21時) (レス) @page44 id: c6afe0fcd4 (このIDを非表示/違反報告)
Ree(プロフ) - 完結おめでとうございます！♡凄く面白くて終わってしまうのが寂しいです！黒の組織との絡みも最高でした！次の作品も楽しみにしてます。素敵な作品ありがとうございました！ (5月31日 20時) (レス) @page44 id: dbef1d39c6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 控えめに言って大好きですいつも頭を抱えて悶えるくらいにはニヤニヤしながら読んでます^_^応援してますp(^_^)q (5月26日 0時) (レス) @page16 id: 4fadfce2cc (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 安室さんの感情的な性格を上手く描けてて凄いなぁって尊敬しました！赤井さん...。夢主の気持ちを考えたらすごく辛い！泣 こんなに感情移入できる作品に占いツクールで出会えるなんて感激です。本当に応援してます！ (5月26日 0時) (レス) id: 2ec2080ab0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よんたん | 作成日時：2023年5月22日 14時
