ストーカーが年上イケメンだった件について。【あなたの番です】【佐野豪】 (ページ10)

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寝室ページ10

「……ん」
「起きました……？」
「えっ？えっ！？」

さっきまで301号室にいたのに、今は501号室にいる。
しかもベッドで寝ていた。

「違います！落ち着いてください……雨宮さん、尾野さんの部屋で寝ていたらしいですよ」
「寝ていたんじゃなくて……何か、変なもの飲まされたんです、絶対」
「そうなんですか……でも、起きて良かった」

佐野さんは私の顔を心配そうに覗いた。
体が熱い。
なんかダルい。

「雨宮さん……？」

おでこに触れられる。

「熱い……熱かな」
「熱……そんな訳」
「ちょっと待っててください。今、体温計持ってきます」

佐野さんは体温計を持ってきて、私に渡した。
脇に挟んで、画面を見る。
段々、上がっていく数字。

「佐野さん……そんな、顔を背けなくても」
「いや……でも、見たらダメじゃないですか」
「気にしないでください」

ピピピッ、と鳴り、画面を見ると38.6もあった。

「治るまでここにいてください、あ……部屋から何か持っていきましょうか？」
「ああ……いや、大丈夫です」
「じゃあ、何か買って……」

1人になるのは、怖い。
体調が悪い時に限って。
佐野さんの服の袖を引っ張る。

「1人にしないでください……」

佐野さんの手が私の頭に置かれ、撫でられる。

「大丈夫です。すぐに帰ってきますから」
「……待ってます」

私、きっと佐野さんの笑顔に弱いんだと思う。
顔が赤いのは、熱のせい。