ロケット ページ12
シルク、アスレチック行ったんだっけ。
スーツケースの中を見ると、ロケットが入っていた。
『…これ、前も持ってたやつだ』
思わず拾い上げる。埃をかぶっていた。
『無くしてたと思ったのに』
お姉ちゃんに貰った誕生日プレゼントのロケット。
中には、写真と手紙が入っていた。
『…手紙なんて、あったっけ』
手紙を読むことにしよう。
ブルームーン、Aへ
お誕生日おめでとう。
もしかしたらこの手紙を読んでいる時は、
あなたの誕生日ではないでしょう。
そして、私はもういなくなっているでしょう。
あなたに、謝らなくちゃいけないことがあります。
黒の組織に入れたのは、私です。
あなたには無理矢理入れられたとあの時言いましたね。
それは嘘でした。ごめんね。
あの時正直に話したら、あなたに嫌われるんじゃないかって
思っていたから。あなたに嘘をつきました。
もしあなたが別の世界にいるのなら。
まぁ、そんなこと、有り得ないんだけどね。
その世界で、幸せになってください。
お姉ちゃんはあなたに何もできなかった。
だからあなたは友情とか恋とか愛とか。
いまいち分からないかもしれないけど。
幸せになってください。
あなたに一度でもいいから会いたいです。
強くなってね。
いつまでも、愛しています。
あなたは、できない相談と言ってくれますか。
嘘をついたお姉ちゃんに。
あなたにもう一度。
愛しています。
ポートワイン、優香より
『お姉ちゃん…』
嘘、だったんだ。
『どうして、正直に話してくれなかったの…?』
もし正直に話してくれたら。
『私は苦しまなかったのに…』
どうしてなの?
『お姉ちゃん』
やっぱり、お姉ちゃんのこと。
『よくわかんないよ…』
いつもそうだった。
『小さい頃からずっと』
愛しています、なんて。
『今となってはできない相談…だよ』
写真を見る。
お姉ちゃんと私。全く正反対だった。
お姉ちゃんは黒髪、私は金髪で。
お姉ちゃんはロング、私はショートで。
お姉ちゃんは女らしく、私は男勝りで。
お姉ちゃんはポートワイン、私はブルームーンで。
お姉ちゃんは愛の告白、私はできない相談で。
でもお姉ちゃんは、こう言ってくれた。
「ブルームーンの酒言葉はね、確かできない相談と奇跡の予感だった気がするの」
「だから、あなたは奇跡を起こせるんじゃない?多分だけど」
『ポートワイン…』
お姉ちゃん。あの時急所を狙っていなかったら。
悪い夢にうなされなかったのかも。
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作者名:アンドロメダ | 作成日時:2018年1月1日 16時