殺し屋さんと錬金術師 (ページ19)

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17話ページ19

シルクsaid
もう、そろそろだな。指輪も買ったし。陛下にもちゃんと言ったし。
プロポーズって、どこですればいいんだろ。わかんねーわ。
ちゃんと幸せにしなきゃ。Aのこと。
俺に幸せをくれた人へ、カッコいいとこ見せなきゃ。
初めて会った時、俺はもう好きになってたかもしれない。
あともうすぐだって、分かってる。
やばい、どうしよ。
緊張して上手く言えなかったらどうしよ。
緊張して噛んだらどうしよ。
緊張して一文字も言えなかったらどうしよ。
緊張して震えたらどうしよ。
君は、笑ってくれるかな。
泣いてるかもしれない。
それとも、断るんじゃないか。
やっと言うんだ。
跪いて、こう言った。
『俺と、結婚してください』
ちょっと驚いたような顔をした君。
しばらくの沈黙を破って聞こえたのは、
「はい、喜んで」
頬を涙で濡らしながら微笑んでいた、君の声でした。

Asaid
『はい、喜んで』
顔がグチャグチャかもしれない。
でも、嬉しすぎて泣いてる。
安心したような君の顔。
「良かった」
『なんで？』
「断られたらって」
『断る訳ないでしょ…』
呆れた。でも、やっぱり、好き。
「大好き」
『私も』
「指輪、つけてあげよっか」
『つけて』
綺麗な指輪。月の光に輝いてる。
『綺麗…』
「Aも」
『恥ずかしい事言わないでよ』
昔、母がこう言っていた。
「王子様は運命の人と出会うことができました、めでたしめでたし」
『運命の人なんていないよ』
「いるわよ。だって、パパとママがいなかったら、Aは生まれてないじゃない」
『でも、いないよ』
「きっとAにも、運命の人がいるわ。ママのこと、信じて」
『うん、分かった』
幼い頃から難しい勉強をして、運命とか信じてなかった。
でも、母は優しく言ってくれた。運命の人はいるって。
もしかしたら彼が、私の運命の人？そうだよね。うん。
『…母さんが言ってたこと、本当だったのかも』
「え？」
『何でもない』
これからも二人で仲良く、一緒にいようね。

END