巡り会う妖と人の子１０ (ページ48)

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第４６３話～一方その頃…？～ページ48

「…ちょ……

ちょ…っと…

ちょっと！！」

ぼんやりと考え込んでいた意識が引っ張り出される

俯いていた顔を上げると、いつの間にか目の前にザンビアが立っていた

ここは西洋のとある森の中

元々はザンビアに呼び出されて来たのを、今の今まですっかり忘れていた

三世「…なんだよ」

ザンビア「私がさっきからずぅ～っと呼んでるでしょうが！

返事くらいしなさいよ！」

三世「あぁ…悪い」

そう口では言ったものの、すぐに"あの人"の事で頭がいっぱいになる

ザンビア「…どうしたのよ、具合でも悪いわけぇ？」

そう言いながらザンビアは三世の横に座り込んだ

三世「そうじゃない

…ちょっとな」

ザンビア「あっ！もしかして鬼界ヶ島の彼女のこと？

バルモンドにとられちゃったもんねぇ！」

馬鹿にするように笑いながら三世の顔を覗き込む

"彼女"とは恐らくミウを指すのだろう

三世「いや、違う」

しかしザンビアの期待を裏切るように即答した

的外れな三世の反応につまらなそうに頬を膨らませる

ザンビア「じゃあ…あの破壊兵器の子？」

そいつではないと分かっていても、違うと言われたまま黙るのは彼女の気高いプライドが許さないのだろう

三世「そんな訳ないだろ」

だよねぇ…と溜息をつきながら頬杖をつく

そしてザンビアが悶々と悩んでいる間、三世は再び"ある人"に想いを馳せていた

＿＿あの戦場でなびくサラサラとした髪

＿＿敵を前にしても物怖じせず、凛と気高いあの表情

＿＿勝利という目標だけを見つめた澄んだ瞳

＿＿騒がしかった僕ら(敵)の中でもよく響いて筋の通った美しい声

嗚呼、全てが愛おしい

僕は貴方に心を奪われてしまった

……虚空蔵菩薩さん