巡り会う妖と人の子１０ (ページ45)

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第４６０話～大逆襲！日本妖怪～ページ45

そう小さく吹き出すと虚空蔵の隣に腰を下ろした

そして虚空蔵に竹皮の包みを手渡す

鬼太郎「豊玉姫命さんから

夕飯来なかった虚空蔵にって」

虚空蔵「…あんがと」

受け取った包みを開いてみると、中には三個ほどのおにぎりが入っていた

その一つを手に取って口に運ぶ

だが次の瞬間、虚空蔵はおにぎりを噴き出した

虚空蔵「おぇぇぇぇぇッ！？」

隣でそれを見ていた鬼太郎も驚いて跳ね上がる

虚空蔵「まっず！？まっずぅ！！

何入れとんのアイツ！？」

悲鳴を上げながら悶絶する虚空蔵を横目に鬼太郎も一つ口にしてみた

だが鬼太郎もおにぎりを噴き出して咳き込む

甘味、酸味、辛味、苦味等々…五味全てが混ざったような形容し難い味だ

鬼太郎「あの人の料理のセンスって…」

虚空蔵「…すまん、カップラーメンでダークマター作り上げる奴やった…

でも何故か茶だけは美味い」

おぇ、と嘔吐きながら虚空蔵は残った最後のおにぎりを包み直した

そして二人で深呼吸をして場の空気も仕切り直す

鬼太郎「…その、昼間のこと

…ごめん」

鬼太郎の言葉を聞き、ふぅと息を吐き出してから虚空蔵も口を動かした

虚空蔵「…ええよ、別に

ウチも頭に血が上ってた」

鬼太郎「でも…

…僕も、何が何だか分からなくてイラついてたんだ

Aちゃんの事を悪く言っちゃって、虚空蔵にも当たった」

絞り出すようにして呟き、そして俯いた鬼太郎の頭を虚空蔵が撫でる

虚空蔵「…子供は間違える、いくらでも

鬼太郎も無理に大人っぽく振舞わることもないんや

お前はまだ子供、Aちゃんも子供

難しいこと考えんで言いたい事言やぁいいんよ」

それでも釈然としない表情の鬼太郎に虚空蔵は苦笑いをした

虚空蔵「……気になるんか、Aちゃんのこと」

すると弾かれたように虚空蔵を見上げる鬼太郎

鬼太郎「…僕は知りたいだけなんだ、Aちゃんの秘密」

虚空蔵「それを知ったら、２度と会えなくなるとしてもか？」

一瞬、肩を強ばらせた

そして迷いと少しばかりの焦燥が混じった表情を浮かべながら、しばらく沈黙する

鬼太郎「…Aちゃんとは離れたくない

でも…」

虚空蔵「言いたいことは分かる

…やけどな、駄目なんや」

虚空蔵は鬼太郎の頭から手を下ろして、満天の星が広がる夜空を見上げた

虚空蔵「妖怪の人生は長い、特に自分ら幽霊族はな

せやからそんなに焦ることもない

のんびり生きとれば、いつの間にか手に入れとるかもしれんよ」