巡り会う妖と人の子１０ (ページ44)

今日:57 hit、昨日:4 hit、合計:88,071 hit

第４５９話～大逆襲！日本妖怪～ページ44

気付くとオレンジ色に染まっていた空は、いつの間にか暗くなりつつある

鬼太郎「…そろそろ帰らなきゃ心配されますね」

ニコニコと笑っていた豊玉姫命も気付いたのか、夜空を見上げて立ち上がった

豊玉「あらホントね、帰りましょうか」

ーーーー

都会や横丁と違って、月明かりのみが照らすあぜ道を歩く

豊玉「ねぇ、鬼太郎君」

鬼太郎「なんですか？」

隣を歩きながら話しかけてきた豊玉姫命を見上げた

豊玉「あのねぇ…虚空蔵って凄く過去を引きずるタイプなの」

鬼太郎は頭にハテナを浮かべて豊玉姫命の言葉を待つ

すると何を思ったのか、小さく吹き出してから話を続けた

豊玉「昔にね、一回だけ虚空蔵も私も本気の喧嘩をしたことがあるの」

本気の？

そう思って首を傾げた鬼太郎の頭を撫でた

豊玉「普段の言い合いなんかただのじゃれあいみたいなものよぉ

神様の本気の喧嘩はねぇ、それはもう天地を揺るがしたわぁ」

子供が自慢話をするようにドヤ顔で話し出す

豊玉「水の神の私が怒ったから津波やら川の反乱が起こったりぃ…

虚空蔵の方は巻物の術を使いまくったもんだから地震だとか雷がそこら中に落ちたりだとかね…

結局二人共閻魔様に拳骨落とされて一年くらい地獄の牢に入牢する羽目になったりしたのよぉ」

口元に手を当てながら笑った豊玉姫命

鬼太郎もそういえば、と昔を思い返す

まだまだ自分が小さかった頃、虫たちの噂で都会の方で大災害が起こったとかなんとか聞いたのを思い出した

その時自分は都会から離れた所に居たから被害は全く無かったが…

鬼太郎「…あれって、お二人の仕業だったんですね」

豊玉「そうそう

…それで話は戻るけど、喧嘩後にその事を虚空蔵がずーっと引きずっててね

ごめん、ごめんってのをず～っと」

まるで今現在起こってる出来事のように、頬に手を当てて溜息をついた

豊玉「私はもうすっかりって感じだったのに虚空蔵だけが何度も謝ってくるから居心地悪くてねぇ…

結局最後は私が気にしてないわよって何度も言い聞かせて終わったのよ」

だから、と一拍置いて言う

豊玉「虚空蔵とちょっとだけ、話してあげてちょうだい？」

ーーーー

昼間に温められた砂浜がすっかり冷えきった頃、虚空蔵は波打つ海を静かに見つめていた

「冷えるよ」

そう言いながら来たのは、竹皮で包んだ何かを手に持ってくる鬼太郎

虚空蔵「…別に、妖怪も神も病気にならんからええやろ」

鬼太郎「そうでしたね」