巡り会う妖と人の子１０ (ページ43)

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第４５８話～大逆襲！日本妖怪～ページ43

豊玉「あのねぇ、さっきは私の自己紹介が曖昧になっちゃったのを思い出したのぉ」

ギクリと鬼太郎が肩を強ばらせる

鬼太郎「…すみません」

豊玉「いいのよぉ、別に

だから、もう一度ねぇ」

鬼太郎の方に手を差し出しながら優しく微笑んだ

豊玉「豊玉姫命…虚空蔵には省略してタマって呼ばれてるわぁ

普段は虚空蔵の仕事の手伝いをしてるか、人間界をお散歩してるか…あとは家でのんびり過ごしてるわよぉ

鬼太郎君、よろしくね」

よろしくお願いします、と同じく手を差し出した鬼太郎は豊玉姫命と握手する

鬼太郎「あの…虚空蔵の仕事の手伝いって…？」

虚空蔵の立場故に気になった事なのか、恐る恐る聞いてきた

豊玉「そうねぇ…私書類とかは基本的に触らせてくれないから今回みたいな妖怪退治だったり、あと人間界の噂とかも集めてくるわよ

ほら、虚空蔵って閻魔様の右腕みたいな感じだからその分仕事も多いのよ。だから代わりに私が～って」

確かに虚空蔵は閻魔大王直属の部下

仕事が多いのも頷けるし、最近は自分達の警護も増えただろう

それを手伝う誰かがいても不思議ではない…と鬼太郎は考える

虚空蔵「それにほら…私って水の神様だから水の中を自由に行き来できるのよ。りゅーちゃんとここに来れたのもその力があったから

だから偶に虚空蔵にタクシー代わりとして使われるのよねぇ」

もう…と溜息をつく豊玉姫命の横で、鬼太郎は水竜が現れた時のことを思い返した

あの洞窟内の水は殆ど…というか全てが足首ほどまでしかなかった

そしてそこから巨大な水竜が現れ、バルモンドに噛み付いてく

瞬間移動か異空間を移動できる能力に似たようなものだろうか

豊玉「どっちかというと鏡爺の能力に似てるわねぇ」

まるで鬼太郎の考えを読んだように呟く豊玉姫命

驚いて目を見張った鬼太郎を横目にクスクスと笑った

豊玉「神様なんだから呪文唱えなくなって読心術くらいお手の物よぉ

虚空蔵だって出来るわぁ…というより、私達神にとっては基本中の基本ねぇ」

鬼太郎「そ、そうですか…」

恥ずかしさに身を縮こませた鬼太郎は、話を切り替えるように鏡爺について聞き返す

鬼太郎「あの、鏡爺って…？」

豊玉「鏡爺はねぇ…まぁ、簡単に言えば鏡の世界を行き来できる妖怪よぉ」

いつか会えるかもねぇ、と豊玉姫命は呑気に笑う

鏡の世界を行き来できる事以外は教えてくれないのか…と少し不満にも思ったが、冷たい風に頬を撫でられてそんな考えも消え去った