巡り会う妖と人の子１０ (ページ42)

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第４５７話～大逆襲！日本妖怪～ページ42

豊玉「鬼太郎君」

喉をさすりながら半身を起こした鬼太郎の名を呼んだ

そして鬼太郎の前にしゃがみこんで視線を合わせる

豊玉「貴方があの娘を人間ではないと認めてしまったら、あの娘はもう貴方と会えなくなるわ

勿論、貴方達もね」

ぐるりと蒼坊主達を見渡しながら言った

豊玉「この中にあの娘が嫌い、って人がいるなら認めてもいいのよ

でも、少しでもあの娘を想う心があるなら…どうか言わないであげて

それにこれは虚空蔵の為でもあるの」

そう言うと、豊玉姫命も虚空蔵を追いかけるように部屋を出て行こうとする

だが豊玉姫命を鬼太郎が呼び止めた

鬼太郎「豊玉姫命さん

…僕らは、いつAちゃんの事を知れるんですか」

豊玉姫命は襖に手をかけたまま、振り返らずに答える

豊玉「…いつかね

明日かもしれないし、来週かもしれない

来月かもしれないし、来年かもしれない

もしかしたらずっと来ないかも」

そして襖を開けると部屋を一歩出てから一言呟いた

豊玉「…でも、だからどうしたの？」

鬼太郎「…え？」

素っ頓狂な声を上げて豊玉姫命を見上げる

豊玉「それを知ったら、貴方はあの娘を嫌いになるの？

貴方達は、真実を知ったらあの娘を嫌いになる？」

"なりません"

その言葉が鬼太郎の口から出ようとしない

鬼太郎「…分かりません」

詰まっていたものを吐き出すよう、否定の言葉の代わりにそんな言葉が出てきた

それを聞くと豊玉姫命は満足そうに笑う

豊玉「それでいいのよ

未来の自分の気持ちなんて分からないんだから

もし鬼太郎君が"ならない"なんて言ってたら、私はもう貴方と会わなかったわ」

その理由を問うように鬼太郎は眉を下げた

そんな鬼太郎に豊玉姫命は突然真顔になって答える

豊玉「だって、馬鹿な人間みたいだもの

変に夢見て理想を語ってばかりの馬鹿な人間って、気持ち悪いし嫌いなのよね」

バン、と何かに怒りをぶつけるように襖を閉めていく

残された者達は、物音一つしない静かな部屋で気まずそうに顔を俯かせていた

ーーーー

島にある崖の上に一つの人影がある

そこに座っているのは鬼太郎

鬼太郎は夕暮れに染まっていく海をぼんやりと見つめていた

するとそこへ豊玉姫命がふわふわと飛んでやってくる

鬼太郎「…豊玉姫命さん」

豊玉「はぁい、鬼太郎君」

先程の真顔が嘘のように微笑みながら鬼太郎の横に座った