巡り会う妖と人の子１０ (ページ41)

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第４５６話～大逆襲！日本妖怪～ページ41

そして再び騒ぎ出した虚空蔵と豊玉姫命

鬼太郎はそんな二人を苦笑いを浮かべながら見つめていたが、やがて口を開く

鬼太郎「虚空蔵」

すると取っ組み合いになりかけていた虚空蔵が振り返った

虚空蔵「おん？」

鬼太郎「Aちゃんのこと、聞いていい？」

なんの感情も込められていない言葉が放たれた途端、場の空気が凍りつく

勿論虚空蔵達も取っ組み合いを止めて鬼太郎に向き直った

そして部屋の中に沈黙が訪れる

するとミウがゆっくりと口を開いた

ミウ「皆さんから、Aさんの事は聞きました

Aさんは人間…ですよね？虚空蔵様」

虚空蔵「そうや」

恐る恐る聞いてきたミウに即答する

しかしそれに鬼太郎が声を低くして呟いた

鬼太郎「…"あれ"が、人間？」

全員の脳裏に、あの日破壊の限りを尽くしたAの姿がフラッシュバックする

その瞬間、虚空蔵が鬼太郎の喉をわし掴みにして押し倒した

鬼太郎がその息苦しさにもがく

「「「鬼太郎！！」」」

虚空蔵「来るな」

怒りと苛立ちが入り交じったその声は、ざわめいた部屋を黙らせるには十分だった

対して豊玉姫命は騒ぎも怖気もせずに虚空蔵を無表情で見つめている

虚空蔵「…言っていい事と悪い事が判断出来ないほど幼かったとは思わなかったよ、鬼太郎」

まるで地の底から響くような声に、豊玉姫命以外の全員が体を強張らせた

鬼太郎もその殺意にすら近い怒りに圧倒されながら、息苦しさに顔を歪めて負けじと言い返す

鬼太郎「前々から、おかしいとは、思ってたんだ…

色んな妖怪に狙われ、て……髪もまるで手足みたいに自由、自在に、動かせて……」

キッと虚空蔵を睨み上げた

鬼太郎「今回ので、確信したよ…あの時…あの妖力は操られて、出るものじゃない…

Aちゃんは……」

虚空蔵「鬼太郎」

そう呼ばれて、鬼太郎は気付く

いつの間にか手の力が緩んでいることに

そして虚空蔵の顔が悲しげな表情になっていることに

虚空蔵は鬼太郎だけに聞こえるように声を潜めて、ゆっくりと囁いた

虚空蔵「それ以上は駄目だ

あの娘と居たいなら、今のまま一緒に並んでいたいなら

…あの娘の事が好きなのなら」

一息ついて最後にもう一度だけ呟く

虚空蔵「……あの娘は、人間や」

それだけ言うと、のっそり立ち上がって部屋を出ていった

豊玉姫命は虚空蔵が出ていった後の襖をしばらく見つめていたが、やがて小さく微笑む