巡り会う妖と人の子１０ (ページ39)

今日:17 hit、昨日:4 hit、合計:88,031 hit

第４５４話～大逆襲！日本妖怪～ページ39

蒼坊主「…？はい…」

虚空蔵が何を伝えようとしているのか分からず、首を傾げつつ頷いた

虚空蔵「タマの事を除けば、お前はウチといる時間が誰よりも多い

…だから、分かってくれ」

少しの間を置いて虚空蔵は声を低く潜めて言い放つ

虚空蔵「ウチは今、物凄くイラついてる

やけどお前に当たりたくない……出てってくれ」

それっきり虚空蔵は右手で顔を覆い、沈黙してしまった

そして蒼坊主は虚空蔵の言葉にどうするべきか迷っている

すると＿＿

突然襖が大きな音を立てて勢いよく開いた

流石にそれには虚空蔵も蒼坊主も驚いて跳ね上がる

「何二人っきりで話してるのッ！！

さては師匠と弟子のラブストーリーかしらぁ！？」

虚空蔵「…」

こめかみに血管を浮かせながら振り返ると、子供のように顔を輝かせた豊玉姫命が立っていた

虚空蔵「…タマ、何しに来たんや」

蒼坊主が来た時よりも苛立ちを増したように感じる虚空蔵に気が付かず、豊玉姫命はズンズンと室内に入ってきた

豊玉「そこの青い坊やに自己紹介してなかったと思い出したのよ！

名前も顔も青いこと以外あんまり思い出せなかったから聞いて廻ってたの！」

豊玉姫命が村の人々や砂かけ達に"青い坊や"と聞く様子を思い浮かべると…

蒼坊主は恥ずかしそうに俯いてしまった

虚空蔵「蒼の風評被害があかんからやめたれ」

しゃがみ込んだ豊玉姫命の頭をペシッと叩くと、子犬のように騒ぎ出す

豊玉「なによぉ！！しょうがないじゃない！初めて会った時は夜だったし、りゅーちゃんに持たせてたから顔あんまり見えなかったのよ！！」

その言葉を聞いた虚空蔵は勢いよく立ち上がった

虚空蔵「おいちょっと待てェ！！水竜に持たせてたってどうゆうことや！！

なんで"乗せる"じゃなくて"持たせる"なん！？」

先程までとは打って変わり、虚空蔵は豊玉姫命と言い争いを始める

あっという間の雰囲気の移り変わりに蒼坊主も困り果てた

豊玉「～～大体！！貴方はいつもいつもいっっつも固いこと言ってばっかり！！そんなんじゃきっと貴方の一番弟子も大したことな…」

そう言いながら蒼坊主の方に向く豊玉姫命

だが蒼坊主の顔を見た瞬間フリーズしてしまった

虚空蔵「…？」

当の蒼坊主は勿論、虚空蔵も突然のフリーズに混乱している

そして豊玉姫命は一度深呼吸をするとこう言い放った

豊玉「…イケメンね」

虚空蔵「は？」

豊玉「惚れたわぁ！！」