巡り会う妖と人の子１０ (ページ23)

今日:41 hit、昨日:4 hit、合計:88,055 hit

第４３８話～大逆襲！日本妖怪～ページ23

バルモンド「貴様には聞いていない！

それとも…あの破壊兵器に近付けて殺してやろうか！？」

"破壊兵器"の名を聞いて鬼太郎は負けじと睨み返す

鬼太郎「Aちゃんは…破壊兵器なんかじゃ…！」

バルモンド「じゃあなんだってんだ、破壊兵器以外の呼び名で…！

なんなら殺人兵器とでも呼ぼうか！」

そしてミウに向き直りながらバルモンドは左腕の包帯をランスのように尖らせた

そしてそれをミウの喉元に突き立てる

バルモンド「さぁ…答えるんだ、ミウ

それともここで…鬼太郎と共にアレに殺されたいか…？」

右の親指で下の崖に縛り付けられているAを示す

鬼太郎「ミ、ミウちゃん…！」

じわりと、恐怖でミウの目尻に涙が浮かんだ

そして鬼太郎の脳裏に十二年前の…地に倒れる母親に縋り付くミウの姿が映る

鬼太郎「(もう誰も悲しませないって…あの日誓った筈じゃないか…)」

脅すようにバルモンドはミウに向かって右腕のランスを振り上げた

バルモンド「腕の一つも落としてみせないと分かんねぇか！？」

そして刃先がミウを斬りつける…直前

鈍い音を立てて、何かがバルモンドのランスを弾いた

バルモンド「ぐ、ぅ…っ

誰だ！！」

バルモンドはその"何か"が飛んできた方向を見る

そこには、確かに縛り付けた筈のAが立っていた

相変わらず人形のように無表情のままこちらを見据えている

バルモンド「な、何故…！？」

そのバルモンドが怯んだ一瞬

鬼太郎はそれを見逃さずに、閉じかけていた瞳を限界まで開いた

ダン、と一発の銃声が島に響き渡る

その音に戦う妖怪達は手を止めた

砂かけ「なんじゃ、今の音は！？」

化け狼を倒そうと締め付けているぬりかべの上で、木の枝を手にコウモリ達を追い払う目玉おやじもその音に振るっていた腕を止める

目玉「お？あれは、鬼太郎の…！」

発砲音と共に発生していた煙が引くと、仰向けのままでバルモンドに指鉄砲を向けている鬼太郎の姿があった

鬼太郎「これが幽霊族の秘術…指鉄砲だ！」

指鉄砲で胴体のど真ん中に風穴を開けられたバルモンドは、ぐらりとその身体を揺るがせる

バルモンド「き、鬼太郎…！？」

驚いたような目で鬼太郎を見つめたまま、バルモンドは地に伏せてしまった

鬼太郎「これ以上、お前達なんかに…皆を傷つけさせて…

たまる、かぁぁッ！！！」

鬼太郎は両手の指をバルモンドや崖下の敵に向け、指鉄砲を乱射し始める