巡り会う妖と人の子１２

第５０７話〜レスキュー目玉おやじ〜 ページ3

────────

鬼太郎達が現場に駆けつける前、カワウソ、アマビエ、子ぬりかべ兄弟達が風呂屋に駆けつけた

するとアマビエは水を頬張ったカワウソを消防用のホースかのように引っ掴み、絶え間なく立ち上る黒煙に向かって火消しを試みる

お歯黒｢アマビエ、カワウソ…！！｣

火消し(なおカワウソはホース代わり)をする二人に縋るような視線を向けたお歯黒

｢助けて〜！｣

｢お〜い！｣

一方風呂屋の上では逃げ遅れて助けを求めている妖怪達を救出する為に子ぬりかべ達が梯子のように重なってタワーを作る

そして一気に全体を傾けて風呂屋の二階部分に立て掛けると避難用の滑り台になった

子ぬりかべ達の滑り台を妖怪達が滑っていき、見事全員が救出される

ぬり女房｢あらま！ウチの子達だよ！｣

鐘の音を駆けつけて野次馬に混じっていたぬりかべ女房も子供達の行動に思わず目を向いて声を上げた

やがて鬼太郎達がやってきた時には黒煙も炎も既に消えている

お歯黒｢ありがとよ、お前達！本当に助かったよ！｣

と、お歯黒が消火に貢献した一同を褒めていた

皆一様に目玉おやじと同じ消防服に炎のエンブレムを胸に着けている

鬼太郎｢治まったみたいですね｣

そう安堵した鬼太郎とは裏腹に、目玉おやじは鬼太郎の頭から飛び降りて皆の前に降り立った

するとカワウソ達は綺麗に二列で整列し出す

目玉｢皆よくやった！

ミッション・コンプリート！｣

先程と同様に右手をグッドの形にして胸の前に持ってくるポーズを構える

｢｢｢イエス！ダディ！｣｣｣

するとカワウソ達も声を揃えて目玉おやじが鬼太郎に言ったものと同じ返答をした

鬼太郎｢…え？

えぇ…！？｣

｢鬼太郎さん？｣

ひょっこりとAが鬼太郎の背後から顔を出してくる

鬼太郎｢え"っ！？

…あ、あぁ…おはようAちゃん｣

仰天続きでAの登場にまで気が回せなかった鬼太郎は驚きの意味でドキドキと心拍の高まる心臓を抑え込むと苦笑を浮かべた

A｢何かあったんですか？｣

鬼太郎｢いやぁ…ちょっとボヤ騒ぎがあったらしくてね｣

A｢そうなんで…あれ？なんで目玉さんが消防服を着て…｣

鬼太郎｢……その、なんかまたハマったらしくて…｣

ポカーンと呆気に取られるAから気まずそうに顔を逸らすと言葉を詰まらせながらそっと呟く

Aもそれで察したのか、ほぼ呆れ笑いに近い苦笑を浮かべてそれ以上聞くことは無かった

第５０８話〜レスキュー目玉おやじ〜→←第５０６話〜レスキュー目玉おやじ〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す