巡り会う妖と人の子１２

第５２３話〜レスキュー目玉おやじ〜 ページ19

カランコロンと下駄を鳴らしながらAと自宅への道を歩いている鬼太郎

鬼太郎｢いえす、だでぃ…いえすだでぃ…

はぁ…まだ抵抗感あるけど…｣

A｢慣れればこっちのものですよ、鬼太郎さん｣

当のAはくすくすと笑いながら隣の鬼太郎を覗き込んでくる

鬼太郎｢う、うん…｣

渋々、といった感じで頷きながら目の前に立ちはだかる家の中へと入っていく

鬼太郎｢ただいま！蒼兄さん達は帰って行きましたよ〜……ダディ…｣

しかしシーンと静まり返る家の中、どうやら家にはいないようだった

机の上に一枚の置き手紙が置かれている

『夜行さんの所でテレビをみてるぞ 父』

鬼太郎｢…また｣

────────

書かれた通り夜行研究所へ行くと、丁度目玉おやじ達がドラマを観ていた

…の、だが

『おとっつぁん、オラもう九つだ！大丈夫だよ！』

『すまんなぁ…おとっつぁんが怪我したばっかりに…』

なんといつの間にかアクションドラマから時代劇に移り変わっている上、元ファミリー・レスキューのメンバーに加えて砂かけや子泣きまで鑑賞に加わっている

そして案の定目玉おやじは時代劇風のカツラに和服を着こなしていた

夜行｢今度は時代劇にハマったようじゃ…｣

A｢…あれって確か、何年か前に流行ったものですよ…｣

ただただ苦笑を浮かべる事しか出来ないAを知らずにテレビ鑑賞組はうるうると涙を流す

子泣き｢貧乏じゃぁぁ！あまりに貧乏じゃ…！！｣

砂かけ｢でも健気に生きとるんじゃよぉ…！｣

そんな様子にはぁ、と溜息をついた鬼太郎はまぁまぁとAに諭された

A｢目玉さん達も悪気があるわけじゃないんですし…｣

一方でテレビの中では痩せこけた父親を抱きしめ、労う六人の姉弟の姿が映る

その場面に目玉おやじは不意に拳を握りしめて立ち上がった

目玉｢くぅぅ…

鬼太郎ぉ！この子達を助けてやるんじゃあ！！｣

ぼんやりと肩を落としていた鬼太郎は脳が身体に追いつけず、反射的に手をグッドの形にして叫んでしまう

鬼太郎｢っイエス！おとっつぁん！！｣

途端に周りの空気が静まった

そこへ追い打ちをかけるようにアマビエとカワウソが静かにツッコミを入れる

アマビエ｢イエス・おとっつぁんって…｣

カワウソ｢それはダディだろ…｣

鬼太郎｢あ"っ｣

目玉おやじの早すぎるブームに着いていくには、鬼太郎はまだまだ遅いようだ

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