巡り会う妖と人の子１２

第５１８話〜レスキュー目玉おやじ〜 ページ14

一反｢どっこいしょ！｣

目玉おやじを受け止めてから一反木綿は松明丸の後を追うように旋回した

目玉｢攻撃は待て、鬼太郎！

子ぬりかべとAちゃんがあの妖怪の中に取り込まれてしまっとるんじゃ！！｣

鬼太郎｢えぇ！？｣

だがそうこうしている間にも松明丸はどんどん人間界の方へ飛んでいく

地上でそれを見守るねずみ男達にも焦りが浮かび始めた

子泣き｢いかん！人間の世界に出られたら大事じゃ！｣

そんな叫びを聞いたところで松明丸が止まるはずもなく、鋭い叫びを上げながら夜空を舞う

悔しげにその後ろ姿を見つめるしかない鬼太郎は苦し紛れに一反木綿へ叫んだ

鬼太郎｢っ追ってくれ！一反木綿！！｣

一反｢おっけーじゃーい！｣

するとスピードを出した一反木綿に蒼坊主が飛び乗り、｢僕も行く！｣と声を上げて呼子もそれに続いて乗ってくる

黒鴉と虚空蔵の二人も自力で空を飛びながら並走してきた

合流した一同は燃え盛る松明丸に近付き、鬼太郎は後ろの蒼坊主と隣の虚空蔵を見やる

鬼太郎｢蒼兄さん、虚空蔵！あの中に子ぬりかべとAちゃんがいるんだ！｣

｢｢なに！？｣｣

二人とも揃って驚愕の色を浮かべて松明丸を見上げた

黒鴉も虚空蔵の横で苦々しげに顔を歪める

黒鴉｢くそ…迂闊にでも出せないのか…！｣

虚空蔵｢こんな時にタマがいれば…なんでアイツこんな時におらんのや！！｣

ガシガシと乱暴に頭を掻き毟る虚空蔵を鬼太郎は横目でそっと見つめる

＿＿私ちょっと南国の方に行ってくるわぁ！

一週間ほど前にそう言い残して水の中に飛び込んでいった豊玉姫命の姿が頭の中にふと過ぎった

豊玉姫命の従える水竜に乗って海を横切って直接行くらしい

あの時は自分の権限を使いたい放題だな…とだけ思っていたが、まさかこんな風に裏目に出るとは

口にすれば恐らく、いや絶対に隣の知恵の神が色んな意味で怒り狂うであろう事なので鬼太郎は頭を抱えつつそっと心の中に仕舞う

そして脱線しかけた思考回路を再び松明丸に戻した

蒼坊主｢せめて居場所が分かれば…！｣

当てようのない悔しさを表すように松明丸を睨みつける

その後ろで呼子もまた、自慢の大声で松明丸の体内の二人に呼びかけた

しかしいくら経っても子ぬりかべからの返事は来ない

呼子｢子ぬりかべ〜っ！返事をしてくれ〜！｣

虚空蔵｢Aちゃん！！どこや！！｣

加えて虚空蔵も声を張り上げる…が、結局返答が帰ってくることはなかった

目玉｢…鬼太郎！わしが行く！｣

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