大王様は惚れさせたい【HQ】 (ページ9)

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No.008 #案外好きページ9

Aさんside

及川先輩はだいたい同じ時間に

図書室にやってきては私にどうでもいい雑談をして

予鈴で教室に戻っていくようになった

そして今日は調べたい事があったため

ルーズリーフと筆箱を図書館に持ち込み

本を読みながら大事な所をメモしていた。…のだが

集中力がきれた

｢…疲れた｣

背伸びをして、時計を見ると

なんと、もうすぐ及川先輩がいつも来る時間だった

『あぁ〜…あ？』

なるほど？

私は意外と及川先輩とのどうでもいい雑談を気に入ってるらしい

私は無意識に及川先輩を待っていたのだろうか…？

及川先輩が来るまで続きを読もうとすると

静かな図書室に足音がした

及川｢やっほ〜Aちゃん｣

ほんと、

『タイミング良いのか、悪いのか絶妙な時に来ますよね』

及川｢え〜、もしかしてAちゃん及川さんの事考えてた？｣

『私が本を読んでいる時に、及川先輩の事を考えると思います？』

及川｢ん〜ないかな笑｣

及川先輩は笑いながら私の隣の椅子に座った

そして、今日もどうでもいい雑談をする

雑談と言っても

私が及川さんの話に相槌を打つだけなのがほとんどだけど

及川｢ねぇ聞いて〜。今日さ及川ハンガー徹って言われたんだよね｣

『それまた、どうしてです？』

及川｢えっとね、ブレザーかけてたハンガー外さずに着て学校来たから｣

『自業自得ですね、気づかなかったんです？』

及川｢うん気づかなかった｣

及川｢クラスの女子にクスクス笑われてて、おかしいなって思って気づいた。｣

及川｢一緒に学校に行ってる岩ちゃんもすれ違う人も教えてくれないんだよ!?｣

『まぁ、私も教えませんけど』

自分の時間を邪魔されるのは嫌いなはずだけど…

この時間は案外好きかも

及川｢ねーえ、聞いてる？｣

『はい、聞いてますよ』