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vol.03 ページ4

バシャバシャと水音をたてて、

雨の街を走っていく。


「我ながら…申し訳ないことしちゃった…」


ため息混じりにそう呟いた。

にしても…


『青柳さんが風邪を引かなければそれで…!』


あの子のあの目。

すごくまっすぐで純粋だった。


あんな子に親切にしてもらえて

その上俺のファンって…。


どうしよう。すごい嬉しい。


「あ、翔さん!どこ行ってたんですか!」


ホテルに着くと、舞台を共にする後輩に声をかけられる。

「あぁ、ごめん。ちょっとコンビニに。」

「そうなんですか。…で!聞いてくださいよ!」


しばらく後輩の話を聞いた後、

俺は自分の部屋へ戻る。


おもむろにバックを探って、

傘を返す用の袋を取り出して

丁寧にその折りたたみ傘を袋に入れた。


「あと何か…お礼を…」


何がいいだろう。

学生さんだし、趣味が分からない…。


『舞台頑張ってください!』


彼女はそんなことを言っていた。

けど、舞台に「行きます」とは言わなかった。


行けないのかな…?

落選とかして?


だったら…。


俺は再びバックを探って、

舞台のチケットを取り出した。


この地での最終公演。

結構いい席だから、喜んでもらえたらいいな。


「よし、そろそろ夕食か…っ」


大きく伸びをして、気合を入れる。

あの子に明日も会える。


そう思った瞬間


心のどこかがワクワクしていた

自分がいた。


翌日。


「ありがとうございましたー」

今日も舞台は大成功。

出演者も皆清々しい顔をしていらっしゃる。


シャワーを浴び、

楽屋で身支度を済ませると


俺はそこからホテルではなく、

昨日のコンビニへ向かった。


今日は晴れ。

雲一つない晴天だ。


「まだいない、か」


ここへ来るのは俺の方が一足早かったのか、

彼女はまだ来ていなかった。


しばらくそこで待機をしていると、


昨日とほぼ同じ時間に

彼女がやってきた。


『こんにちは…』


昨日と同じ格好に、夏用のセーターを着ている。

涼しげな髪型が風に揺れて、

ほんの少し頬を紅く染めていた。


「学校、終わったところ?」

『あ、はい、終わりました』


どこか嬉しげに言った彼女に、

俺は昨日用意した袋を差し出した。


「ありがとね。すごい助かった。」

『本当ですか?よかったです…』


そう言って袋をのぞき込んだ彼女が

首を傾げて中に入っている封筒を取り出した。


『青柳さん、これは…?』

「今やってる舞台の、最終日のチケット」

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設定タグ:青柳翔 , 劇団EXILE , 妄想   
作品ジャンル:恋愛
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砂我樹冷夏(プロフ) - この作品大好きです。また更新されるのを楽しみにしてます。 (2016年3月3日 22時) (レス) id: bc3d1de2bf (このIDを非表示/違反報告)
クレープ♪ - 更新停止やめて!!!!!!!!!!!!!!!! (2016年2月11日 13時) (レス) id: 5073b0f41b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2015年7月24日 15時

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