【B-PROJECT】誰の手をとるの？ (ページ5)

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Story -5- ページ5

｢空木さんですか！これはこれはまた可愛らしい………って、え？｣

A｢え？｣

はしゃいでいた彼は勢いよくソファーから立ち上がり、そのまま何処かへ姿を消した。
そして今、残った二人の紹介をして貰おうとした瞬間、一番最初にお辞儀をしたのは眼鏡をかけている方だった。
私の名前を復唱しつつさりげない口説き文句の様な発言をした後、彼はフリーズした。

音済｢ミカ？｣
A｢えっ、と｣
釈村｢ああああ！！貴女っ、は！魔女っ子マミリンのニューシングルCDお渡し会にてイメージソングを一曲歌った！あの！！空木Aさんですね！！？｣

A｢…あ、えっと…｣

さきほどまでの紳士的行動が嘘のようだ。
眼鏡をくいっと持ち上げては私の目の前まで歩み寄り、両手で私の手を掴んだ。

まあ確かに、目の前にいる彼の言った事は当たりだ。芸能活動をしたての頃だったと言っても最近の事だが、女児向けアニメである魔女っ子マミリンの仕事が来たのだ。
しかも歌の仕事、初めてだったので私はかなりやる気があった。
だから、お渡し会というちょっとした会場を使い、一度歌った事があるのだが、彼はなぜそこまで覚えているのか、寧ろあそこにいたのか、と思うと何だか申し訳ない気持ちになった。

釈村｢こほん、これは失礼しました。僕は釈村帝人と申します。こよなくマミリンを愛し、マミリン関係の事であれば是非！この僕に… ｣
北門｢帝人、そろそろ良いかな？｣

未だ握られた手は離れず、しどろもどろしていれば北門さんが止めに入る。
安心したとは言えないが、あのままでは何も言えず彼のペースに飲まれる所だっただろう。

音済｢音済、百太郎｣
釈村｢ももたすももたす！そんないきなり名前を言ったって分からないでしょう？｣
音済｢お前みたいにグイグイ近付くよりはマシだろう…、｣

まさにその通りです、と私は音済さんに向けて首を縦に動かした。