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一希.
「……まあ、勝つことも大事だけどさ。この前のマスコミ襲撃事件は大丈夫だったの?」
「ああ……うん、何とか。元々メンタルが強いから、吹っ切れたら一瞬で」
昌磨くんは、「良かった」と呟くと、ほっとしたように微笑んだ。
そんなに心配してくれるなんて……そう思って胸があったかくなったけど、同時に「何でそんなにAを気にするんだろう」なんて黒い感情も湧き上がってきていた。
「ネットの反応ほんま凄かったもん。氷川Aが倒れるなんてよっぽどだからマスコミは自重しろって。」
「そんなに……」
「選手のメンタルを壊すことだけはしたらいけない、とも書いてたね」
そっとAの名前を検索すると、そこにはマスコミへの批判書き込みがたくさんあった。
「こうして将来有望の選手が苦しめられる」
「ザギトワに勝てる唯一の選手だから仕方ないところもあるけど、流石に可哀想」
「何も言わなくても勝手に勝ってくれるからマスコミは待ってろ!」
「てかAちゃんのJO出場決定したよ!ザギトワとの対決!」
「ジャパンオープン……?嘘やろ?!」
「ああ……近畿選手権免除されるらしいね。もう流石にいいだろうって。だからジャパンオープンに呼ばれたと……」
「……そっか、また今年も一緒に出られると思ったのにな、」
「友野くん、」
「昌磨くん、あいつのことお願いしますね!かおちゃんも!」
このときは、早く追いつきたくてたまらなかった。
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あお - 26話、「好きやねんやろ」よりも、「好きなんやろ」のほうがよいと思います。途中までしか読んでいないので、楽しんで続きを読ませていただきます (2019年1月5日 20時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)
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