笑わない君と《 Kazuki.T 》 (ページ33)

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貴方.

「……で？何となく気まずくて今日まで無視してきたってこと？」

『はい……』

「バカなの？」とでも言いたげに私を見る昌磨は、付けていた手袋を外して髪をかき上げた。

いや、ボッサボサやん……そう言いたくなるのを堪えて、「どうしたらいいかな」と相談する。
私の一希への気持ちを気付かせてくれた昌磨なら、助けてくれるんじゃ……そんな希望を胸に抱いて。

「どうするも何も、ちゃんと話す機会作らなきゃダメでしょ」

『ですよね……』

「友野くんも動揺してるんだって。親友、なんて言ってたくらいなんだから」

『でも、振られるくらいならなかったことに……』

昌磨はじとっとした視線を私に向け、「そういうところがバカって言ってるんだよ」と今度こそ本当にバカと言った。言いやがった……

昌磨に言われたくないわ、そう心の中で悪態を吐くと、ふと考えてしまう。……一希に振られた後のことを。

『もう普通に会われへんくなるのか……仲の良いリンクメイトから、テレビでは共演NG的な……何年か経ってから、週刊誌に一希に告白した情報とかも売られるんかな……宇野昌磨とか、某銀メダリストの人とか、野菜嫌いの人とか、』

「俺に何か恨みでもあるわけ？」

『……別に？』

昌磨は、はあ、とため息を吐くと、「分かったから」と私をなだめた。