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一希.
『ていうか宇野くん、氷川さんなんてやめてや。くすぐったいから……Aでいいよ』
「そう?じゃあ俺も昌磨でいいよ」
『分かった、昌磨』
何でそんな淡々と進められるんかな……?!
俺としては気が気じゃないのに、二人はほぼ無表情で呼び捨ての約束を交わしてしまう。
なんか、めっちゃモヤモヤするっていうか……
『……てか、明日メダルセレモニーやん。しんどいねんけど』
「金メダルは相当聞かれるだろうね。Aは英語話せるの?」
『それなりに?まあ、嫌いではない』
「へー、いいな。」
『通訳さんおってくれた方がやりやすいのはやりやすいねんけどな』
全然話に入られへん……
Aは腰よりも少し高いくらいの大きさのスーツケースを引きながら、昌磨くんと会話を続けていた。重そうやな、そう思ったときには、もう手が伸びていて……
『……一希?重いで、それ。いくら何でも二つ持ちは無理やって』
「む、無理ちゃうし。俺も男やから!」
『そんなん知ってるけど』
「俺やってそんなひ弱ちゃうねんからな!」
捨て台詞のようにそう言い残し、二人の先をずんずんと歩いた。
Aはもう気にしていないのか、昌磨くんと話すの再開するし……スーツケース割りと重いわ。
Aの気を引きたかったのに、全く気にしていないみたいだ。
「はあ……」
『なあ、ため息つくほど重いんやったらええから』
「違うわ!自分の胸に聞いて」
『どういうことなん……』
俺やってよく分からんわ。バカ。
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あお - 26話、「好きやねんやろ」よりも、「好きなんやろ」のほうがよいと思います。途中までしか読んでいないので、楽しんで続きを読ませていただきます (2019年1月5日 20時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)
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