1. ページ1
一希.
『なあ一希、私のスマホ知らん?』
「知らんこともないけど、とりあえず自分の右手見てみ」
聞いといてその手に持ってるなんて、そんな漫画みたいな奴、Aくらいやで。
俺がそう言うと、一ミリも表情を変えずに「ありがと」とだけ言って隣に座る。
氷川A。物心つく前からずっと一緒にスケートをやってきたチームメイト。
あんまりメディアには取り上げられないけど、「氷上の天使」なんて言われるくらい可愛い。
……だけど、喋ったらとにかく残念な天然記念物。
「なあ、あと数時間もしたらフリーやのに何でそんな余裕なん?」
『今更慌ててもしゃあないやろ。あと、私のことなんか誰も見てない』
「何でそう言えるん……少なくとも、俺は見てるよ。頑張ってな、」
『ありがと』
スマホをいじっていた手を止めて、ふっと頰を緩める。「笑わない天使」と皮肉を込めて称されるAだけど、俺の前だと自然に笑ってくれる。
マスコミに好き勝手言われてきたこともあって、Aは自己肯定感がとにかく低い。
「私なんか」は、Aの口癖ナンバーワン。
『……じゃあ、そろそろ行ってくる。一希も頑張って』
「おう!」
ショートは二位通過。
本当は誰よりも強いくせに、注目されることで力を発揮できなくなる……そんな幼馴染みを見ているのは、きっと俺だけで十分なのだ。
.
氷川A
20歳(一希と同い年)
安定したジャンプが持ち味
ユリア・リプニツカヤを彷彿とさせるようなクールぶりを見せる選手
表では「氷上の天使」と表されるが、裏では「笑わない天使」と揶揄されることもある
世界選手権は、補欠として出場(本来とは違う設定です)
主な戦績は、全日本選手権三位、世界ジュニア三位、等
51人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお - 26話、「好きやねんやろ」よりも、「好きなんやろ」のほうがよいと思います。途中までしか読んでいないので、楽しんで続きを読ませていただきます (2019年1月5日 20時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ