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一希.



『なあ一希、私のスマホ知らん?』

「知らんこともないけど、とりあえず自分の右手見てみ」




聞いといてその手に持ってるなんて、そんな漫画みたいな奴、Aくらいやで。
俺がそう言うと、一ミリも表情を変えずに「ありがと」とだけ言って隣に座る。

氷川A。物心つく前からずっと一緒にスケートをやってきたチームメイト。
あんまりメディアには取り上げられないけど、「氷上の天使」なんて言われるくらい可愛い。
……だけど、喋ったらとにかく残念な天然記念物。




「なあ、あと数時間もしたらフリーやのに何でそんな余裕なん?」

『今更慌ててもしゃあないやろ。あと、私のことなんか誰も見てない』

「何でそう言えるん……少なくとも、俺は見てるよ。頑張ってな、」

『ありがと』




スマホをいじっていた手を止めて、ふっと頰を緩める。「笑わない天使」と皮肉を込めて称されるAだけど、俺の前だと自然に笑ってくれる。

マスコミに好き勝手言われてきたこともあって、Aは自己肯定感がとにかく低い。
「私なんか」は、Aの口癖ナンバーワン。




『……じゃあ、そろそろ行ってくる。一希も頑張って』

「おう!」




ショートは二位通過。
本当は誰よりも強いくせに、注目されることで力を発揮できなくなる……そんな幼馴染みを見ているのは、きっと俺だけで十分なのだ。




.




氷川A
20歳(一希と同い年)
安定したジャンプが持ち味
ユリア・リプニツカヤを彷彿とさせるようなクールぶりを見せる選手
表では「氷上の天使」と表されるが、裏では「笑わない天使」と揶揄されることもある

世界選手権は、補欠として出場(本来とは違う設定です)
主な戦績は、全日本選手権三位、世界ジュニア三位、等

2.→



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あお - 26話、「好きやねんやろ」よりも、「好きなんやろ」のほうがよいと思います。途中までしか読んでいないので、楽しんで続きを読ませていただきます (2019年1月5日 20時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星原 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月18日 23時

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