60. ページ10
貴方.
『……あっ、三橋さん。待っててくれたんですか？』
靴を履き替えて外に出ると、三橋さんが門のところに立っていた。理子さんに早く行くように言われたから来たけど、待ってること、知ってたのかな。
三橋さんは「別に」と短くまとめると、私の隣に並んで歩き始めた。歩幅は大きいのに、やけにゆっくりだなあ。
「怪我は、大丈夫か」
『ああ、全然ですよ。これも傷が消えるまで待つだけでいいので。肩とかしか殴られてないから精密検査もいりません』
「おー、そうか。」
未だかつてないほどよそよそしくない……？
普段と様子が違う三橋さんを眺めつつ、家までの道をゆっくりと歩く。いつもなら、「遅ェぞ」ってキレられそうなのに、おかしいなあ……
「……本当に、伊藤とは何もないんだな」
『？そうですけど……』
三橋さんは、「本当だな？」と何度か念を押してから、すう、はあ、と深呼吸を三回ほど繰り返した。
何を言われるんだろう、そう思って三橋さんが口を開くのを待っていると、「A」といきなり名前を呼ばれて、ビクッと肩が揺れた。
「お前は、可愛くねえし生意気だ」
『……この期に及んで悪口ですか？』
「違う。いいから大人しく聞け」
『っ……』
真剣な顔をした三橋さんは、私の肩を掴み、「いいか？」と聞いた。
明らかにいつもとは違う雰囲気の彼に翻弄されつつも、次に来る言葉に期待が膨らんでいく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麻衣(プロフ) - 伊藤落ちがいいです！ (2021年5月24日 6時) (
レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - んきゃああああああああああああ///な、何ですか俺の女になれって！最高すぎますよ///これからもがんばって下さいっ（＊/＾＾＊/） (2018年12月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
