59. ページ9
貴方.
「……これでよし。違和感ない？」
『大丈夫です。ありがとうございます、』
「いいのよ。私に出来ること、これくらいだから」
さっきとは違って、にこっと優しく微笑んでくれた理子さん。
もう怒ってないのかな、そう思ってほっとした。
やっぱり、大好きな人には、悲しい顔も怖い顔も、苦しそうな顔もしてほしくない。理子さんには、笑顔がよく似合うんだもん。
「……Aちゃん、こっち来て？」
『はい？……おっ、と、理子さん、』
ベッドに座る理子さんの隣に腰をおろすと、ぎゅっ、と優しく抱き締められる。力は殆ど込められていないはずなのに、節々が痛い気がした。……無茶なことをしたのは、自分が一番分かってる。
「私ね、ただ心配だから怒ってるんじゃないのよ。これ以上、Aちゃんが痛い思いをするのを見てられないだけ。その原因が私なら、余計に……」
『誰も悪くないです、これは。あのヘルメット男が100パーセント悪いし、それは誰に聞いても変わりません。私も、寝れば治るし……理子さんがいてくれるから、回復効果は抜群ですよ』
「……調子いいんだから、」
また涙声になってしまう理子さんの背中に、そっと腕を回した。泣かせてしまったけれど、私なりに彼女を守れた気がするから、良しとしよう。
前までは意味もなくしていた喧嘩が、こうして大切な人を守ることに役立つなんて。
何度も何度もこの才能を恨んだけれど、今回ばかりは「ありがとう」と小さく呟いておいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麻衣(プロフ) - 伊藤落ちがいいです！ (2021年5月24日 6時) (
レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - んきゃああああああああああああ///な、何ですか俺の女になれって！最高すぎますよ///これからもがんばって下さいっ（＊/＾＾＊/） (2018年12月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
