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貴方.
『み、三橋さん……!』
ヘルメット男に蹴りを入れた三橋さんは、いつものふざけた表情とは打って変わって、真剣な瞳であいつを睨みつけた。
「おい。俺の女に手出してんじゃねえぞ」
『っえ……!』
「A。よくやったな、お前にしては上出来だ」
『あ、ありがとうございます……』
三橋さんは、「そこで座っとけ」と私に背中を向け、ヘルメット男に殴りかかる。もちろん、鉄パイプで。
いつもより多めに殴る彼に、怒ってるのかな、なんて怖くなったけど……色んな人の分をやり返しているだけなんだろう。
「お前な、ウチの頭を倒してえなんて言ってたけどよ、女相手にバットと刃物出しやがって、そんな奴が頭張れると思ってんじゃねえぞ!」
「う、うるせえな!!」
「二度とこいつに手出せねえようにしてやるよ!」
三橋さんは、ヘルメット男が伸びるまで殴り続け、最後はあいつのヘルメットの中に唐辛子を入れ、ガムテープで蓋をした。……恐ろしい。
「……帰んぞ、A」
『は、はいっ!』
「ん、」
三橋さんが差し出してくれた手を握って立ち上がると、彼の後ろを着いて歩く。
『あ、あの、……俺の女って』
「あ?んなこと言ってねえよ。空耳だ」
『空耳?!めちゃくちゃハッキリ聞こえました!』
「んじゃあれだ。三橋さんのことが大好きすぎて幻聴でも聞こえたんじゃねえか?」
あれは絶対に聞き間違えなんかじゃない。でも……あながち間違いじゃないかもしれないから、ふっと笑ってしまう。
『……そうですね、私、三橋さんのこと大好きですから』
「ンだよ、やけに素直だな。何か企んでんじゃ……」
『違います。好きです、三橋さん。』
「……は?」
『俺の女、って、これからも言ってもらえないですかね』
かあっと赤くなってしまう三橋さん。
「お前、そういうのは普通男から……」と口をパクパクさせる。……期待しちゃってもいいですか?
『そうは言いますけど、三橋さん、いつまで経っても言ってくれないから我慢できなくて。ねえ、どうなんですか。』
「っ、何だよお前!ほんとに!可愛くねえ!」
頰に大きな手を添えられて、ピリッとした痛みが走る。驚いてよろめくと、彼の顔が一瞬にして変わる。
「……わさびも入れてやればよかったな」
『え?』
「何でもねえよ。……責任持って、俺がもらってやる」
三橋さん、そういうところですよ。
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麻衣(プロフ) - 伊藤落ちがいいです! (2021年5月24日 6時) (レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - んきゃああああああああああああ///な、何ですか俺の女になれって!最高すぎますよ///これからもがんばって下さいっ(*/^^*/) (2018年12月24日 15時) (レス) id: fa2d4be8dc (このIDを非表示/違反報告)
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