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それから数日経つと、彼はものの見事な回復力で傷を完治させた。




「明日にも任務に復帰できそうですね」




彼に、私の責務を全うすれば誰も私の生き方に文句は言えないと言われてから、

ずっと自分の責務がなんなのか考えていた。







──── 答えは、見つからなかった。





それでも煉獄様は、いつも優しく笑ってくださっていた。



焦らなくていい。俺も最初はわからなかったと。





杏「うむ。複雑だな」

「なぜです?」

杏「君と離れてしまう!」

「………」






同じこと考えてました、なんて


口には出せない。




彼は鬼殺隊の隊士で、しかも柱で、


私は隊士の方々の傷が癒えるまで支援するのが役目。




傷が癒え、任務に復帰できるようになったときに、私はようやく役に立てたことになる。






「もうお怪我なさらないように気を付けてくださいね」





それとなく彼の言葉を躱して、目を細める。
堂々とした立ち姿が眩しい。






杏「今日が君と過ごせる最後の日だな」


「………ええ、そうなれば嬉しいです」







明日から、お互いに元の日常に戻るだけ。



彼は鬼を滅し、私はその裏で一刻も早い鬼舞辻無惨の死を祈る。





ただ、それだけなのに。





杏「A?どうした?」





視線を床に移した私を不審に思って、煉獄様が覗き込む。



顔を背けて彼と目が合わないようにすると、何かを察した様子の彼がそっと私を包んだ。






「れん……」

杏「そんな顔をしないでくれ…。離れがたくなってしまうだろう」






一つ一つ、言葉を落とすような声。



低く心臓に響いてくるような、落ち着く声。





溢れそうになる涙を堪えながら、「安心しただけです」と嘘を吐いた。

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まゆ(プロフ) - うわぁん〜・゜・(つД`)・゜・涙が止まらないです〜!!心臓がキューってなります!煉獄さんと夢主さん幸せになりますように!これからも更新楽しみにしてます!お待ちしております!(^-^)/ (2021年9月23日 23時) (レス) @page32 id: d503357f65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おつき。 | 作成日時:2021年6月2日 21時

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