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＊ ページ10
少し元気なノックとともに、誰かが部屋に入ってきた。
｢あーべちゃん！大丈夫ー？｣
｢……さくま｣
チラッと姿を確認して、また目を伏せる。
｢しんどくなっちゃった？｣
｢…………｣
｢頭痛い？｣
｢……うん｣
｢熱ある？｣
｢……ない｣
｢体がだるいとかある？｣
｢……うん｣
｢吐き気とかは？｣
｢……ない｣
｢何があったか、聞いてもいい？｣
｢……うん｣
一通り話したあと、佐久間は頭を撫でてくれた。
｢思い出しちゃったかぁ……やっぱり、忘れるのって難しいよね｣
｢……びっくりした｣
｢そうだよね〜……あ、ご飯食べる？舘さんに一応聞いてこいって言われてたんだわ｣
｢ん〜……冷めちゃうのも勿体ないから、今日はいいや。明日がんばって食べる｣
｢そっか！伝えとくわ｣
佐久間がニコニコして出ていったあと、端末からすごい勢いで通知音が鳴り響いた。
見なくても分かる。最近はみんな過保護になりがちだから。
明日元気になった時に見よう。
そして翌朝、全員が全員阿部に引っ付くようにして過ごしていたのはまた別の話。
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作者名：麗華 | 作成日時：2020年6月11日 2時
