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深夜特急 ページ34

いくら街中と言えど、時間が時間だし人々の気配はほとんどなく、シンと静まり返っている。街の中で動いているのは俺達の車だけ。それくらい静かな夜だ。

助手席に座っているAは、窓の外で流れる景色を眺めている。横目で盗み見るだけでは、何を考えてるのかわからない。
俺はいつからか、彼女に言いたいことがありすぎて結局大事なことは何も言えないようになってしまった。今沈黙を破ったとして、俺達は一体何処まで行けるだろうか。

「あ、ここ」

シャルナーク「オーケー」

ふと呟かれたその言葉を拾って、路肩に車を停めた。彼女の目線の先にあるのは、服屋。それもスーツの専門店。

「すぐ戻ってくるから、エンジンかけといて」

車が停車すると、彼女はそう言い残してすぐに車から降りた。相槌を打つことしかできなかった俺は、車のハンドルに頭を打ち付けて項垂れる。

シャルナーク「はぁー…」

ヘタレか俺は。好きだと自覚してしまうと前みたいにうまく話せない。Aの方も、何となく俺の変化に気付いてぎこちなくなった気がする。
…こんなんで大丈夫だろうか。ていうか俺はどうしたいんだ?自分が彼女に気持ちを伝えたいのかどうかも、ぼんやりしててわからない。彼女が俺とお揃いの気持ちを持っていたら本当に嬉しいけど、そうじゃないっていうのは見てたらわかる。
そんな状況で言ってしまったら、困らせるに決まってる。Aには一人で悩んだり、困ったりして欲しくないのに俺がその原因になるかもしれない。そんなリスクを背負ってまで、言いたいことなのか………全然答えがでない。自分の中に色んな気持ちとか欲とかが混合してて、濁ってわけわかんなくなる。しんどい…恋ってこえー…

「ただいま戻りました〜あれ、シャルどうした?体調不良?」

助手席の扉が開いた音と、彼女の声に驚いて顔を上げる。Aが車に乗り込むと、ふわりと彼女の匂いがしてどうしようもない気持ちに襲われた。

シャルナーク「だ、大丈夫大丈夫!ていうか早くないか!?スーツ14着だろ!?」

彼女は団長に頼まれて、変装用のスーツと靴を全員分揃えに来たのだ。しかし、まさかほんの数分で出てくるとは思わなかった…

「実はお昼にちょっと下見に来てたんだ。みんなのサイズはだいたい見当がついていたし、シズクのは来る前に測らせてもらったから探すのも簡単だったよ」

シャルナーク「A、大人になったな…」

昔は考えなしに突撃するような大胆な奴だったのに。

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ナツメ(プロフ) - 緑那さん» 緑那さんはじめまして、作者のナツメです〜〜\(^_^)/私も緑那さんのコメントを読みながらどきどきしちゃいました…!!めっちゃ励みになるし超嬉しいです〜〜(;_;)本当にありがとうございます!これからも頑張るのでぜひ読んでいただければなと思います! (2019年6月25日 20時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
緑那(プロフ) - はじめましてコメント失礼します……!興奮しすぎてまとまってない感想を殴り書きしたら普通に文字数オーバーだったのですごく簡単になってしまうのですが、読んでるあいだずっとどきどきしてました。自分でもびっくりです読んでてめっちゃわくわくしました……!! (2019年6月25日 17時) (レス) id: 3c1948d3a1 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - すーさん» わー!!ありがとうございます!頑張ります\(^_^)/ (2019年6月14日 6時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 続き待ってます! (2019年6月9日 13時) (レス) id: 53cfd44f92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナツメ | 作成日時:2019年5月25日 23時

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