灰色の空 ページ24
「は〜！食べた食べた！クロロくんごちそうさまです！」
エド「馳走になったぞ小僧！ワハハ！」
ソラ「クロロ、ありがとう。ごちそうさま」
三人が一列に並んで、会計を終えて店から出て来た彼に手を合わせ、感謝の気持ちを述べる。私だけデコピンを食らった。
クロロ「あぁ、二人とも気にするな」
「ねぇそれって私もカウントされてる？されてないよね？」
クロロ「エド。ちょっといいか」
さては私が食い過ぎたからって怒ってるな？小さい男め…！と、エドと何やら話しながら前の方を歩いてるクロロの背中を睨み付けているとそんな私を隣で見ていたソラが、小さく笑ってこう言った。
ソラ「Aって本当に馬鹿みたいだね」
…なかなか口が達者だな。度胸は昔のクロロにも劣らないところがある。
「おいおい、ソラ〜私はそんな口の悪い子に育てた覚えはないんだけどな？」
ソラ「不思議なことに、Aに育てられた覚えがまったくないんだよね」
「そんな悪いことばっかり言う口は塞いじゃうぞ」
ソラ「セクハラって言うんじゃなかったっけ、そういうの」
「撤回します。誠に申し訳ございませんでした」
ソラ「あははっ、切り替え早っ」
口ではこう言ってるけど、やっぱりケラケラと楽しそうに笑う顔を見せてくれるようになったのは大きな進歩だと思う。彼が心を開いてくれて良かった。
「ふふ」
ソラ「何？」
「ううん、何でもない」
ソラ「何だよ」
「違いまーす、でも教えませーん」
ソラ「どうせろくでもないことでしょ…」
そんな風にじゃれあって、他愛もない話をしてるうちに日が落ちて。
エドの家の近くまで帰って来ると前にいるクロロが立ち止まって闇を背にして振り返った。夜を告げる風が一吹きして、彼の髪をなびかせる。
クロロ「俺とAは明日、ここを旅立つ」
彼が告げるのは神様が決めたことみたいに“絶対”の言葉だ。例外も、奇跡もここでは起こることが許されない。そんな絶対的な力がクロロにはある。
クロロ「エド、ソラ。世話になったな。ありがとう」
でも、彼がどんなに力を持っていようときっと神様にはなれないのだろう。老人と子供に向かって一礼するその姿を見て、そんな風に思った。
エド「まったくだ！手のかかるガキめ！」
そんなことを言いながら少し嬉しそうなエドと、遠くを見つめて黙ってるソラ。
クロロは私を一瞥してから身を翻してエドと地下に降りていった。
私達はただその様子を何も言わずに眺めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナツメ(プロフ) - 緑那さん» 緑那さんはじめまして、作者のナツメです〜〜＼(^_^)／私も緑那さんのコメントを読みながらどきどきしちゃいました…！！めっちゃ励みになるし超嬉しいです〜〜(;_;)本当にありがとうございます！これからも頑張るのでぜひ読んでいただければなと思います！ (2019年6月25日 20時) (
レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
緑那(プロフ) - はじめましてコメント失礼します……！興奮しすぎてまとまってない感想を殴り書きしたら普通に文字数オーバーだったのですごく簡単になってしまうのですが、読んでるあいだずっとどきどきしてました。自分でもびっくりです読んでてめっちゃわくわくしました……！！ (2019年6月25日 17時) (レス) id: 3c1948d3a1 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - すーさん» わー！！ありがとうございます！頑張ります＼(^_^)／ (2019年6月14日 6時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 続き待ってます！ (2019年6月9日 13時) (レス) id: 53cfd44f92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナツメ | 作成日時：2019年5月25日 23時
