本当のこと ページ14
約3分ちょっとの通話を終え、そそくさと部屋の中へ戻る。夜風に当たっていたから体が少し冷えた。
ソラ「何処行ってたの？」
声が聞こえた方に目をやると、パジャマ姿のソラがこっちを探るように見上げていた。髪が濡れているところを見ると、どうやら彼はお風呂上がりのようだ。
「電話してたんだ。それよりソラ、早く髪乾かさないと風邪引いちゃうぞ〜」
ソラ「うん」
「今なら特別にAさんが乾かしてあげましょう。ドライヤー持っておいで」
ソファーに腰掛けて、冗談半分本気半分で笑いながら言う。彼はいつものようにクールに流した。
ソラ「別にいいのに」
しかし何だかんだ彼はコンセントに繋げたドライヤーを私のとこまで持ってきて、横に座る。
「ンン〜〜…」
可愛すぎんだろ。
ソラ「なに」
「いえ、何も」
少しずつ、心を開いてくれていることが嬉しい。彼は口数が多い方ではないから私ばかりが付きまとっているように思いがちなのだが、きっとそうではないのだろう。そうだといいな。そうじゃないと、私は一人の大人として人間失格してしまう。
何であれ今の私の使命は大人しく彼の髪を乾かすことだ。
髪をワシャワシャ触りながら水気がありそうな場所に温風をあてる。風の温度が心地よいのか時々彼は目を細めてされるがままになっている。……なついてる猫みたい。前髪を切ってから彼の表情の変化が見えやすくなった。きれいな目だし、やっぱり見えた方がいいな。
ソラ「ねぇ」
「どうした〜？」
ソラ「Aはいつか、ここから居なくなるの？」
そうやって前髪を切ったことで表れた彼の表情。それが今、一瞬。寂しそうに見えた。
さすがに今日だとは思わなかったけど、私もいつか、彼には聞かれるんじゃないかと思っていた。
『言う』と腹を決めるたらすぐに、ドライヤーのスイッチを切って、手を止めた。声がドライヤーの音に、雑音に邪魔されないように。
「居なくなる」
真っ直ぐ、体ごと彼の方に向きなおって私は彼に、そして自分自身に誓った。
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ナツメ(プロフ) - 緑那さん» 緑那さんはじめまして、作者のナツメです〜〜＼(^_^)／私も緑那さんのコメントを読みながらどきどきしちゃいました…！！めっちゃ励みになるし超嬉しいです〜〜(;_;)本当にありがとうございます！これからも頑張るのでぜひ読んでいただければなと思います！ (2019年6月25日 20時) (
レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
緑那(プロフ) - はじめましてコメント失礼します……！興奮しすぎてまとまってない感想を殴り書きしたら普通に文字数オーバーだったのですごく簡単になってしまうのですが、読んでるあいだずっとどきどきしてました。自分でもびっくりです読んでてめっちゃわくわくしました……！！ (2019年6月25日 17時) (レス) id: 3c1948d3a1 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - すーさん» わー！！ありがとうございます！頑張ります＼(^_^)／ (2019年6月14日 6時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 続き待ってます！ (2019年6月9日 13時) (レス) id: 53cfd44f92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2019年5月25日 23時
