六等星 3

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たった一言ページ42

除念はその夜、早速行われた。
私が差し出す代償によっては、色々とマズいことになるかもしれないので部屋を片付け、ソラが眠ってから実行に移された。

エド「これから私の念獣が出てきてお前に取り引きを持ち掛ける。ルールは2つ。
“取り引きの間、念獣から目を逸らしてはいけない”
“念獣の頼みを3度以上断ってはいけない”
だ。これを破ると…まぁ恐ろしいことになるとでも言っておこう。
尚、念獣の姿を見ることができるのも、会話できるのも除念される本人であるAだけだ。口出しは私ですら不可能。つまりヘマは許されない！せいぜい頑張るんだな！」

一息でここまで説明できるとは流石天才科学者。よく訓練されている。

「了解。私がもしヘマして死んだ時は、死体は海に捨ててね。空が見えない土の下には埋めないで欲しい」

エド「了解だ。まぁ、何かと嵩張るからまず焼いて骨だけにするがな」

そのまま捨ててくれ。悪党なら法律よりロマン重視だ。と、普段なら突っ込んでいただろう。でもそんなことできるほど、お気楽ではなかった。

人生はいつだって死と隣り合わせなことを、人より自覚している。しかし、だからと言って小さくなっているなんて性に合わない！
が、痛いものは痛いし死ぬのは嫌だ。怖くないわけないんだ。でも、決して屈しないと覚悟を決めたからには、決して屈してはいけない。

エド「準備はいいか？」

「遺言は聞いてくれないの？」

いつもの調子で冗談を言う。あからさまだったかな。

クロロ「聞かない。お前は死なないからな」

あー、今なら団長って呼んでもいいかもしれない。私達は、私は、そんな君だから安心してついていける。

「そうだね、わかったよ」

人はきっと、こうやって認められるから生きていけるんだ。