六等星 3

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怪我人は言うことを聞かないページ22

しばらく眠ったら多少は元気になった。二時間じっくり迷った末、室内にあった紙とペンを勝手に使って手紙を書いた。ゴン、キルア、クラピカ、おまけにレオリオの分だ。きっとAがここにいた証拠はこうでもしないと残らない。どうしたって世の中に溢れてるものって、消えていくものばかりだから。

何を書くかは随分考えたけど、書き終えたときにはすっかり心の整理もついてすっきりしていた。あとは皆の鞄にこっそりこれを入れるだけである。直接渡さないのかって？はは、そんなことできない。恥ずかしいもん。

サトツ「失礼します」

扉をノックする音が聞こえて間もなく、試験官が部屋へ入ってきた。上半身だけを起こして、ベッドの傍の椅子に腰掛けた試験官と目を合わせた。

サトツ「まずは、ハンター試験合格、おめでとうございます」

＊＊

お前はしばらくここで休め、と言われたけれど無理矢理松葉杖を用意してもらって立ち上がった。くそ、やっぱり痛いな。でも私の心にはずっと前からもっと深い傷があるんだ！負けねぇ！(元気すぎるメンヘラ女子)

サトツ「ここで大人しくしているのが懸命だと思いますが…講習なら後でも受講できますし」

「いいや、今行かなくちゃいけないんだ！私の理由じゃ君を説得できないし、足も痛いけど、それでも今行かないといけない！」

そういう偉そうなことを言って勢いよく部屋を出たけど、松葉杖でそんなに速く移動できるわけもなく、耳をちょっとだけ赤くしながらえっちらおっちら壁に沿って進む。そんな私の背中を試験官は黙って見送った。もう、、何も言うな。

中庭に面した廊下にやっとの思いで差し掛かると、講習が行われていると思われる部屋の大きな扉が50mくらい先に見えた。同時にそこへ向かってズンズン進んでるゴンの姿も見つけた。

「おーーい！ゴーン！！」

声をかけて手を振ってみる。あわよくば歩くのを手伝ってくれ。そういう思いを込めた叫びは彼には届かなかった。
ゴンは私の声に気付かず、一直線にその扉を勢いよく開けて入っていった。
く……一人で苦しめということか！上等だ！やってやらぁ！

てな感じでおよそ2分を費やし、やっとの思いで扉にたどり着いた。たかだか50mにこんなに時間を使ったのは初めてだが、いい経験になった。これから怪我をしたらなるべく安静にしておこうと思いました。

既に開けっぱなしの扉から中を覗くと、予想に反して険悪な雰囲気が漂っていた。