番外編 クロロ 2 ページ17
会わないと決めた次の日、彼に会った。確かに、彼は『また明日来るから』と言っていたから私は念のため早起きして日の出とほぼ同時に宿を出たのだ。流石にこんな時間に来る奴は頭がおかしいと、そう踏んで。
彼は頭がおかしかった。宿の前の階段に座って平然と本を読んでいた。
クロロ「おはよう、早いんだね」
なんだこのむず痒い感覚は……こいつに負けたくないという思いがわずかに芽生える。挨拶は無視してガンショップ・エドワードへ向かって歩いた。彼に地図を読んでもらわなくとも、道は昨日通ったから覚えている。
しばらく歩いてガンショップ・エドワードに到着する。昨日と同様、やはり店にはシャッターが下りている。
こうなったら仕方ないのでシャッターを壊さんばかりに蹴りまくる。ガシャンガシャンと近所迷惑な音を鳴らし続けること15分。明かりが付いて、内側から勢いよくシャッターが開いた。
エド「コルァァァァ!?!?さっきからうちのシャッター蹴ってるのはどこのどいつだ!?!?お、お前は腰抜けモランのとこのチビッ子ガンマンじゃないか!大金持ち逃げしたらしいな!ワハハ!まぁ入れ!」
言われた通りに店の中に入って、適当にソファーに腰掛ける。朝から疲れた。
エド「む?おい、このガキはお前の連れか?」
エドはやっとクロロに気付いたらしく、きょとんとして聞く。
「あぁ、そーだよ」
クロロ「よろしく」
エド「ふん、ただのガキには興味ねぇや。まぁいい。入れ!」
クロロが店の中に入ると、エドは忙しなく奥の給湯室を行ったり来たりしてコーヒーを準備しはじめる。勿論自分の分だけだ。やっと落ち着いて向かいのソファーに座ったと思えば、急に何かを思い出したように立ち上がって奥の無数に引き出しのある棚を引っ掻きまわしたり、とにかくこの爺さんには落ち着きというものがない!
エド「あった、あった!これを見ろ!」
そう言って嬉しそうに持ってきたのは金ぴかの装飾を施したハンドガン。
エド「これはお前が今まで壊したハンドガンの部品をリメイクして私が作った。どうだ」
「へぇ、撃たせてよ」
エド「馬鹿野郎。今この街で銃声なんて聞こえたら即撃ち合いになる」
「何で?」
珍しく乗り気じゃないエドに驚いて聞き返す。
エド「昨日、部下を二人殺されたジェフがカンカンになって犯人探ししてんだ」
「ジェフ……ああ!ジェフの旦那か。でもここは旦那のシマじゃないはずだ」
エド「報告会に来てたのさ」
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作者名:ナツメ | 作成日時:2018年11月19日 18時