吊り橋効果【そらる】

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人間死ぬ時は痛い思いや苦しい思いをする






｢…痛かったよね｣






溺死、餓死、窒息死、事故死、過労死



死に方なんて色々ある



そしてどれも痛いか苦しい






｢自分から死のうとする人って相当な精神崩壊してる人なんだって｣






そして、私も今から死のうとしてるんだから相当な精神崩壊者なんだろう







｢何してるの。授業中でしょ｣




｢先生こそ仕事放棄して何してるんですか｣




｢質問を質問で返さないでよ｣






いつの間にか後ろにいた担任



名前は一ノ瀬彼方先生



新任教師でイケメンで生徒思いだから生徒から大人気







｢先生に話してみてよ｣




｢生徒思いの先生には分かりませんよ｣




｢そう…でも死ぬのは苦しいし痛いよ｣




｢知ってますよ｣




｢ここで飛び降りても高確率で助かるよ｣







遠回しに飛び降りても死なないと言いたげな先生



自分でも薄々気づいていた



この高さで死ぬことは出来ない



“死ぬのが怖い”







｢先生は大切な人を亡くしたことはありますか｣




｢ないかな｣




｢好きな人が亡くなったことはありますか｣




｢亡くなったことはないけど亡くなりそうな人なら目の前にいるよ｣




｢…えっ…?｣







一瞬、聞き間違えたのかと思った



目の前には私しかいない






｢人はいずれ死ぬ。遅かれ早かれ｣






そう言いながら先生は近くに寄ってきた



つい反射的に後ろへ下がってしまい足が滑った



落ちると思い目を瞑ったのに落ちた感覚がなく




代わりに腰に違和感があった






｢告白する前に死なないでよ｣






先生が腰に腕を回して落ちないようにしてくれていたらしい






｢せん、せ…｣




｢先生と恋愛しよう?死ぬその時まで｣






命の危機に晒された時


人はその時出会った人に恋愛感情を抱く時がある




それが吊り橋効果

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