【呪術廻戦】霆と呪いのハムレット【夏油傑】

第4話 術式の開示 ページ6

夏油side



「早く行きましょ。五条に置いて行かれるよ」


背筋の伸びた背中をぼんやりと眺めながら後ろから歩くが会話は一切無かった。


「…そうだね」


何か話そうにも接点も無く、かと言って話し掛けて気分を害しても困る。ニコリともしない彼女は取っ付き難いひとだった。


「夏油の術式はなに？」


不意に澄んだ綺麗なソプラノ声が私に話し掛ける。立ち止まっていたらしい彼女は私を見上げていた。


「え？」


急な言葉に間抜けな声しか出ない私を他所に眉を顰める彼女に機嫌を損ねてしまったかとも思ったがそんな事は気にしていない様子でもう一度同じ言葉を繰り返した。


「私の術式は『呪霊操術』その名の通り呪霊を取り込み操る術式だよ」

「へぇ、余り聞かない術式だね」

「君の術式は？真逆、鞭を使うだけでは無いだろう？」

「……私のは『雷霆呪術』
自身に流れる電気を呪力で底上げし雷に変え操る術式」

「凄いな…良い術式じゃないか」


素直な感想だった。雷は使い方によっては近接だけでなく中・長距離も可能に出来る。
けれど彼女は苦虫を噛み潰したような表情で「そんないいものじゃない」と呟いた。
様子がおかしな彼女に口を開いたが言葉は発せられることなく五条が悠々と歩いて来た事により話は終わった。

第5話 距離の詰め方→←第3話 彼女の強さ

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