第41話 冷徹な瞳 ページ43
夏油side
「誰だ貴様、名を名乗れ
さもなくばここで斬り殺す」
「A…!私だ!夏油だ!」
「…夏油?」
酷く冷徹な瞳だった。
低く唸るような声だった。
いつも鈍く輝く金緑色の瞳は影を落とす程に暗い。手が震える。
冷たいAを初めて見た。
呪術界で生きてきたからこそ、なのだろうか。
ここまでの警戒心、昔から命を狙われていたのか…?
「勝手に入ってすまなかったね」
「…ごめんなさい夏油」
私の上から退いたAはナイフをしまった後、申し訳なさそうに私に手を伸ばした。
その手を取るとAの細身とは考えられない腕力で私を引き上げた。
「どうして私の部屋に?」
「悟が授業が始まる前にAの部屋に行って起こして来いって」
「?私、今日は休みよ?悟も知っている筈だけれど…」
「……は?」
アイツ!!嘘教えたな!?
後で覚えとけよと心の中で悪態をつく。
「昨日の任務が朝方までかかったから先生が休んでいいって言われたの
その時悟も居て聴いていたから…何より私が寝ている時に部屋に入るという事の意味を誰よりも知っている人よ、騙されたのね夏油」
本当にごめんなさい、お詫びに何でもするわと頭を下げるAには本当に申し訳無いが良い機会だとも思った。
「じゃあ、名前で呼んでくれないかい?」
「名前?」
「そう。私だけ苗字呼びじゃ少し寂しいからね」
「あぁ、なるほど。それでお詫びになるの?」
「勿論。私にとっては、ね」
「…そう?」
首を傾げながらなら傑と呼ぶわと不思議そうな彼女は酷く可愛らしい。
今抱き締めたら一体どんな表情をするのだろうか。
気にはなるが恐らく避けられるだろう。
彼女の反射神経は目を見張るものがある。
目も冴えてしまったし授業に出るかなとAは寝巻きを脱ぎ捨てた。
脱ぎ捨てた?????
「A!?!?」
「なに?」
何時もは決して外に晒すことの無いほっそりとした─それでいて程よく筋肉がついた二の腕や豊満な二つの膨らみが見えて身体を反転させた。
「いやいやいや、何で着替えているんだ!?」
「制服に着替える為よ」
何時からお馬鹿になったの?と私の顔を覗こうとするAの反対方向を見る。
(頼む!頼むから服を着てくれ!!羞恥心はどこに行ったんだ!?そんなことは今はどうでもいい!私を外に出してくれ!)
Aを押し退け廊下に出ようとすると、Aは不満げに話を聞きなさいと腕を掴んでくる。
139人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
卯月@スイ(プロフ) - ナッツさん» コメントありがとうございます!!がんばりますね! (2021年1月20日 7時) (レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - ニヤニヤしながら見てしまいました(^^)更新楽しみにしていますっ! (2021年1月19日 22時) (レス) id: 528660073f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas
作成日時:2021年1月14日 15時