第34話 往来で出会う君 ページ36
雨はニコニコと
人の良い笑みを浮かべながら私の隣に立った。
「大丈夫だよ、こんな往来で流石に僕達だと気付く人は居ないだろうさ」
「……側近はどうしたのよ」
「今日は別。
兄さんが今日はお見合いだからね。お役御免の僕は追い出されたんだ」
「災難ね」
「そうかな?僕としては自由時間が増えるから願ったり叶ったりだよ」
普段は軟.禁されていると言っても過言では無い環境にいる雨を私はよく知っている。
広い屋敷と言えど学校にも通わせては貰えず飼い殺しの日々に鬱蒼としているのも知っている。
「都笠さんが大人しくお見合いを受けるとは思えないのだけれど」
現在20歳である都笠さんは嫡流で次期当主。
お見合いの話は寧ろ遅すぎる。
その理由と言うのも本人は実家を継ぐのを嫌がり海外へ逃亡していたからなのだ。現在は大人しく実家にはいるがお見合いの話を悉く断っている。
呪術師としては凄い人なのだが如何せん奔放的だ。
「そうだね。
多分今回も破談になるんじゃないかな」
次いでに前回は女の人がお茶をぶっかけて破談になったよと愉快そうに雨は笑う。
「あの人、相変わらず怖いもの知らずね…」
「そうでもないさ。
いや、ごめん。嘘ついちゃった」
件の父上に反抗した事を思い出したのだろう。
鉄扇を持ち歩く都笠さんは家を出る時に父上を鉄扇で殴り飛ばしたらしい。
139人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
卯月@スイ(プロフ) - ナッツさん» コメントありがとうございます!!がんばりますね! (2021年1月20日 7時) (レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - ニヤニヤしながら見てしまいました(^^)更新楽しみにしていますっ! (2021年1月19日 22時) (レス) id: 528660073f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas
作成日時:2021年1月14日 15時