【呪術廻戦】霆と呪いのハムレット【夏油傑】

第17話 少女は独り考える ページ19

Aは頼んだ珈琲を飲みながら考える。




どうしたら、五条悟を殺さずに済むのか

どうしたら、雨が幸せになれるのか

どうしたら、母や弟達が生きて往けるのか

どうしたら、誰にも気にされず消える事が出来るのか

どうしたら、鳴神家当主を殺せるのか




『五条悟を殺せ』



それは命令だった。
鳴神家当主からの直々の命令


当主である憐れな父は御三家に食い込むことを悲願としている。


五条悟を殺せなければ、私は勿論、八千草家にいる私の実母も弟達諸共殺されるだろう。

かと言って五条悟を殺しても私は呪詛師として処刑される。

そうなれば大元が私の稼いだ給料で生活している家族達は皆、路頭に迷う事だろう。

八千草の家が保護していると言っても不安は消せない。



母の精神が破壊し、八千草家へと帰るよう通達があった時、当主である父は拒んだ。


まだ子を産ませるつもりだったのだろう。

相伝の呪術を受け継いだ子を産んだ母

だが女だった私


当主の座を決して継げない約立たずの娘

相伝の呪術を継ぐ男児を欲しがる父



だから私は提言した



【母や弟達にこれ以上乱暴せず私達を八千草の家に戻してくれるのならば私は貴方の命に従う】



所謂、【縛り】



父は快諾し、私は生きた傀儡に成り下がった。

あれから何年経ったか覚えていないが私は父の命令を忠実に遂行する傀儡になったのだが…



「殺したくないなんて、思うとはね」



押し殺してきた感情も

あの日々(彼等と過ごした時間)を前にしたら塵芥と同じらしい。



私は静かに苦笑した。

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