強く易しい光柱【鬼滅の刃】

光柱、彼女のただひとつの「望み」 ページ48

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──夢を見ていた
幸せなゆめだ

弟のように思っていた耀哉も呪いにかかることなく穏やかにあまね様とご子息達と笑い合い、柱の者達の大切な人も奪われず、他の隊士達の家族も誰一人として死んでいない

私の隣には母上と、父上、そして姉上がいる
そして、目の前には月夜がいて、獪岳は玄弥や有一郎、無一郎と遊んでいる

皆が幸せそうに笑い泣くことも怒ることも増してや誰かを憎むことも無い
だれも傷つかない。

傷つくことの無い世界

私のゆめ
私のただひとつの「夢」

ザァァと風が木を鳴らした音で私は呆然と立っていることに気がついた。
目の前には紅葉が咲き乱れ、赤々とした紅葉がまるで絨毯のようで美しく、先程のが全て瞞しであることにも気づく。


(獪岳の元に帰らねば…きっと寂しいと泣いている…有一郎と無一郎にも安心させなければ…)


私は先程まで何を見ていたのだろうか。
ただ、此処がこの世のものとは思えない程美しいと事が直ぐにわかった


(此処は…？)


風がそよそよと吹いていて紅葉がまた一枚、はらりと落ちる
その瞬間全てを思い出した


「そうか、私は死んだのか…」


声に出してみると実感する。
何故痛みがないのか疑問に思い義手で腹を確認する。


「…義手が元通りに…？」


義手がある
先の戦いで貫かれた腹が治っている
何故傷が治っているのだろう
痛みも何も無い、凡てが元通りだ。まるで何事も無かったかのよう。


(私が天国にいけるはずがない…人々を踏み付けてきた私がそんな筈…)


そんな事を考えていると


「少し、早すぎないか？」


後ろから待ち焦がれた声が聴こえた


「つき、よ…」


振り向かずとも分かる。
恐らく近くの紅葉の木の下に彼は居る。




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