お館様、姉への言葉に笑みを零す ページ32
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三ヶ月後、獪岳は産屋敷邸へ赴き正式に光柱となった
ジャリジャリと鳴る石を踏みしめて庭の奥へ奥へ進む。
産「良く来てくれたね獪岳。柱への就任おめでとう。Aも嬉しく思っていると思うよ」
獪 「…」
近くで挨拶もなしにだとか無礼やら囁かれているが無視を決め込む。炎柱は何も伝えなかったらしい師範の最後の言葉を伝えに来ただけ、馴れ合いは不必要だ。
獪「今日は師範の最期の言葉を伝えに来た」
師範の言葉を伝えると目を見開いた者しかいなかった。そんなふうに思っているなど微塵も知らなかったようだ。
産「Aの遺言書にも同じ事が書いてあったよ。
君達には生きて欲しい、この先の未来を歩むことを望む」
煉「俺も驚いた。八朔日は噂の人物とはまるで別人の様だった」
獪「最後に…
“鬼の居ぬ平和な世でまた逢おう”」
其れだけ云い終えると獪岳は真っ先に来た時と同じ道を辿った。
遺言書に書かれた内容をお館様は密かに思い出す。
【鬼舞辻無惨を倒すまで墓参りには来るなよ】
一番最初にそう書かれていたらしい遺言書には他に日々の感謝と柱達への謝罪と感謝、家族への愛の言葉。
そして、最後に締めくくった言葉は
【お前は生きろよ】
彼女らしい遺言書だと一人で笑ってしまった
あまねや子供達は心配そうに見ていたけれど
長く生きれる訳が無いのに私がしようとしている事を見透かしたかのような言葉は私もまだまだだねと笑わずにはいられなかった。姉には何でもお見通しだったようだ。
其の願いは叶えられそうにない
直ぐに其方に私も逝くよ
産「あの世でAを姉上と呼んだならどんな顔をするだろうか」
きっと気恥しい顔をするんだろう。
Aは今頃何をしているのだろうか、月夜には逢えただろうか。
そう考えながら太陽を見上げる
目は見えないが陽の光が穏やかに耀哉を照らしAの笑い声が聞こえた気がした
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卯月@スイ(プロフ) - 櫻子さん» お楽しみに頂きありがとうございます! (2020年6月3日 20時) (レス) id: ef0564ef41 (このIDを非表示/違反報告)
櫻子(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品更新楽しみにしてました、お疲れ様でした! (2020年6月3日 15時) (レス) id: 4de55d417a (このIDを非表示/違反報告)
卯月@スイ(プロフ) - 奈雪さん» コメントありがとうございます。こういう柱がいたらいいな、から始まった自己満足の物語にも関わらずそんな風に言っていただけて嬉しいです。読んでいただきありがとうございます! (2020年6月2日 22時) (レス) id: ef0564ef41 (このIDを非表示/違反報告)
奈雪(プロフ) - コメント失礼します。此の物語が大好きでした...!完結、おめでとうございます。読むたびに何故か泣いてしまいました。素晴らしいお話に出会わせてくださりありがとうございました(上から目線っぽくてすみません) (2020年6月2日 21時) (レス) id: 5baed18305 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas
作成日時:2020年4月1日 16時