獪岳、盃を交わす ページ29
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勇「駄目じゃないか光羽、勝手に出てきちゃ
君はただでさえAに似ているんだから獪岳くんが驚いてしまうだろう?」
獪「師範生きて……」
光羽「私がAに似ているんじゃない!彼奴が私に似ているんだ…?なんだ?この弱そうなのは?
本当にAが選んだ継子なのか?」
師範じゃないと獪岳は残念そうに呟く
涙は直ぐに止まりもう一度光羽をよく見ると皺がある事が分かる。師範に似ているが全然違う。師範はこんなに快活な人間では無い。
勇「光羽、まだ成長中だと手紙にも書いてあったろう?」
光羽「嗚呼、そう云えばそうだった
おい、獪岳とやらこの家には未だ「光柱」になるに相応しい人間を育成出来ていない。本来ならば潔く身を引く所だがそうはいかない。
私が稽古を付けてやる。感謝しろ」
獪「は、」
勇「光羽?何を云うんだい?」
光羽「ふん、Aが一族の掟を破ってまで育てた子だ。跡を継げる者もいない。ならば子奴を家族として迎え入れるべきだ
盃の用意をしろ」
勇生はハッとしたように奥へ走っていった
光羽は未だ玄関に佇む獪岳を見下げ顎で着いてくる様に示した。獪岳はそうしてやっと中に入った。
光羽「盃を交わす。
其れは家族になることを示す。
お前は今から「八朔日 獪岳」となる。其の名に恥じぬ行いをする事を祈っている」
光羽はそう云うと盃の中に入ったいる酒を飲み干した。それを見た獪岳も飲むと不味かったのか蒸せたが意を決してそれを全て飲み込んだ
勇「ようこそ八朔日家へ
此処は代々光柱を継ぐ掟がある
そして他の者には一切「光の呼吸」を教えてはならない。八朔日家のみでこの呼吸を絶やすこと無く鬼舞辻無惨を滅ぼすその日まで受け継いでいく。そういう取り決めが初代の頃から根付いている一族 それが八朔日家。
これから八朔日の人間として生き、何を為すか見させてもらうよ」
獪岳はそこで漸く合点がいった。
師範がかつて俺を継子に取るのを渋っていた理由。
一族の掟と云うのは恐らく部外者に呼吸を使わせてはならない、と云うものだ。
師範はそこまでして俺を継子として迎え入れてくれた。
光羽「時間は余り無い。光の呼吸を三ヶ月で習得してもらう。覚悟はいいな」
獪「はい、よろしくお願いします」
頭を下げる獪岳に光羽と勇生は優しく笑った
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卯月@スイ(プロフ) - 櫻子さん» お楽しみに頂きありがとうございます! (2020年6月3日 20時) (レス) id: ef0564ef41 (このIDを非表示/違反報告)
櫻子(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品更新楽しみにしてました、お疲れ様でした! (2020年6月3日 15時) (レス) id: 4de55d417a (このIDを非表示/違反報告)
卯月@スイ(プロフ) - 奈雪さん» コメントありがとうございます。こういう柱がいたらいいな、から始まった自己満足の物語にも関わらずそんな風に言っていただけて嬉しいです。読んでいただきありがとうございます! (2020年6月2日 22時) (レス) id: ef0564ef41 (このIDを非表示/違反報告)
奈雪(プロフ) - コメント失礼します。此の物語が大好きでした...!完結、おめでとうございます。読むたびに何故か泣いてしまいました。素晴らしいお話に出会わせてくださりありがとうございました(上から目線っぽくてすみません) (2020年6月2日 21時) (レス) id: 5baed18305 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas
作成日時:2020年4月1日 16時