光柱、生を終える ページ26
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彼女 八朔日Aは人としては余りにも未熟な者だった
人を思いやるばかりに人を蔑ろにする矛盾した思いが存在していた。
いつか来る「幸福なる未来」の為に彼女は戦った
彼女はその場にいることを考えていなかった
周りからも疎まれ、憎まれ、畏怖されていた彼女はどこか欠落していた
だが、彼女がいたからこそ救われた命が何人、何十人、何百人といるのも事実
そして、彼女の背後には迚人には背負えぬ程多くの十字架がある
凡ての隊士の無念と怒り、憎しみ、強い想いを背負って彼女は戦っていた
彼女の後ろには屍が転がっている
彼女は屍を踏み越えて此処まで来た
彼女は後悔をしていない
例え鬼殺隊に居場所がなくとも
どれだけ罵られようとも
蔑まれようとも
嘲笑われようとも
愛しき人を失おうとも
これから先、どんな惨い事を経験しても何度同じ事を繰り返しても彼女は鬼殺隊に入り鬼を滅殺する為に動くだろう
もう殆ど力の入らない右腕を動かし刀を掴み天へ向けた
天へと向ける黄金色の刀は朝日を受けてキラキラと輝く
(嗚呼、そうだ…思い出した
月夜が最期に遺した言葉は────)
『願わくば彼女の人生に幸あらん事を』
済まない、お前の分まで生きる事は出来なかった。……だが、私は幸福だったよ
獪岳、柱達、隊士達、最期に私の言葉を遺す事を許せ
「鬼を許すな!悪を許すな!己に負けるな!
我等が屈する事はあってはならない!
強くなれ、鬼殺隊の剣士よ!立ち上がれ鬼殺隊の剣士よ!
刀を持て!刃を振るえ!
鬼を滅し、人々に安寧を齎せ!!!
平和と幸せを享受せよ!
そして、遠くない未来、鬼がいない世を作れ
己の子にこの使命を継がせぬように
これ以上、鬼により哀しみが増えぬ様に
私達は刃を振るえ
仲間の死が、家族の死が、目上と目下の死が、愛する者の死がきっと…きっと報われる日が来る
この世に永久不滅など無いのだから…。
だからどうか、諦めるな。戦い続けろ!!
我が一生に一遍の悔いなし!
我が人生に誇りあり!
鬼を滅するその時まで繁栄あれ鬼殺隊よ!
我が魂、永遠に鬼殺隊と共にあり!!!」
カランカラン
刀が音を立て地に落ち
彼女はそう高らかに宣言し
生を終えた
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卯月@スイ(プロフ) - 櫻子さん» お楽しみに頂きありがとうございます! (2020年6月3日 20時) (レス) id: ef0564ef41 (このIDを非表示/違反報告)
櫻子(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品更新楽しみにしてました、お疲れ様でした! (2020年6月3日 15時) (レス) id: 4de55d417a (このIDを非表示/違反報告)
卯月@スイ(プロフ) - 奈雪さん» コメントありがとうございます。こういう柱がいたらいいな、から始まった自己満足の物語にも関わらずそんな風に言っていただけて嬉しいです。読んでいただきありがとうございます! (2020年6月2日 22時) (レス) id: ef0564ef41 (このIDを非表示/違反報告)
奈雪(プロフ) - コメント失礼します。此の物語が大好きでした...!完結、おめでとうございます。読むたびに何故か泣いてしまいました。素晴らしいお話に出会わせてくださりありがとうございました(上から目線っぽくてすみません) (2020年6月2日 21時) (レス) id: 5baed18305 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas
作成日時:2020年4月1日 16時