43話 ページ45
『ぅ"……ｯ、…いｯた……。なんなの……！』
倒れた後、急激な頭痛とともに彼女の意識は城の裏手とは違った森に飛ばされた。なんだか暖かく感じるその場所に違和感が生じる。
先程まで鬱蒼としたうすら寒い場所にいた筈なのに、ここはなんだか森の家に帰ってきたような感覚だ。なにより、少し見覚えがある気がする。
何故か魔法が使えないため感覚と勘を頼りに道なき森を進んだ。動かなければならない気がする衝動に駆られたから。
しばらく歩いていると、何処か開いた場所に出た。ここは、ゾムと出会った場所だ。…つまり、少女の家の前。でも少女は驚きはしても喜びはしなかった。それは自宅の方から誰かの声が聞こえるから。
木々に隠れながら窓を覗きこむと、そこには亡くなった筈の両親と、幼い自分の姿があった。なんでかと問われれば特徴的な銀髪が目立っていて、何より昔の私が着ているのは、お母さんが手作りしてくれた上着だったから。
魔法の腕は凄いのに、心をこめるとか言ってなれない手作りで何度も何度も失敗して、やっと作ったものだった。でもすぐに木に引っ掻けてしまって、穴が開いたのをお母さんと二人で悲しんだ思い出がある。
…その後器用なお父さんが直してくれたけど。
目に涙が溜まっていくのがわかる。どう頑張っても、憎しみだけでは両親を思い悲しむ心に蓋をすることが出来ない。
恨んで復讐出来ればどれだけ良かったんだろう。でも、両親はそれを望んでいないし、したところで残る物は何もない。
文字通り私には何もなくなってしまったんだ。大好きだったここももう離れてしまった。
新しい場所も数ヶ月足らずで今まさに壊れそうになっている。どうしたらいいか、なんて考えたくもない。考えたって結局１人にならざるを得ない。
(私の話なんて聞かなくたっていいんでしょう？……戦争の道具にしたいだけ、なんだから……。)
泣きそうになるのを堪えていると、チカ、と森から何か光が見えたような気がした。目配せをするとそこには
………私達を襲った奴らの姿があった。
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おとーふくん(プロフ) - え、好きです(唐突)Twitterでフォローさせていただいているそれんさん(蒼空)です！めちゃくちゃ冒頭の始まり方が好きです...のんびり待ってるので更新頑張ってください！！ (2021年3月20日 10時) (
レス) id: a466b348e0 (このIDを非表示/違反報告)
御影みかん(プロフ) - ゆーちゃさん» こんにちは！コメントありがとうございます！とっっても嬉しいです！！参考になれるような文をかけている事に少し驚きを隠せません笑、まだ書いた経験が少ないのでまだまだ拙い文ではありますが、これからも読んで貰えると嬉しいです！ (2020年6月15日 16時) (レス) id: acabe9bdaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃ(プロフ) - こんにちは！作品見てくださってありがとうございます！この御影みかんさんの語彙力ヤバいですね！参考にさせて頂きます。そして内容。内容も良いですね。課題等頑張ってください。更新待ってます！ (2020年6月15日 9時) (レス) id: 386be5268c (このIDを非表示/違反報告)
御影みかん(プロフ) - あかつきさん» あああありがとうございます！私もあかつきさんのお話はとてもストーリー性や話の運び方が上手ですしとても楽しく拝見させていただいてます！面白いと言っていただけて嬉しいです、頑張ります！！ (2020年2月16日 23時) (レス) id: 3f9567dc9d (このIDを非表示/違反報告)
あかつき(プロフ) - コメ失礼します！！作品お気に入り登録してくれたって通知が来たのでちょっと気になって作品読まさせていただきました…！表現の仕方とても勉強になりますし内容も面白いのでこれからも見させて貰いますね！！ (2020年2月12日 23時) (レス) id: f6ec135c67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御影みかん | 作成日時：2020年1月24日 7時
