5話 ページ7
彼女の口に塩の味が広がる。何かと思えば彼女は、泣いていたのであった。
Aが泣き出したことに本人もゾムも驚いているようで。あわててポケットからハンカチを出したゾムは、彼女にそれを渡した。
『ふｯ、ぅあ"…な、で。なんｯ、で、お前らにとって私ｯ、達は、下賎な、道具なん…だろｯ!!』
そんな物を綺麗と呼ぶなんて頭がおかしいのではないか、そう続けようとした少女の口に涙の塩の味を拭う甘い感覚が広がる。名前も知らない優しいお菓子だった。そして、一息置いてあやすように。ゆっくりと口を開く。
zm｢アホなん？道具なわけないやろ。少なくとも俺はお前のこと"人間"として見とる。小さい癖に泣くの我慢しとんちゃうぞ。｣
…"人間"として。
…魔女なんかあわない。
＿＿…綺麗。
それは彼女が心から愛した両親の日の光のような暖かさに似た、でも全く違う、向日葵が咲くような鮮やかさ。
関を切ったように溢れでる涙は数年前に誓い、また決別した時は自分から涙なんて出ないと言わんばかりであったはずなのに。
優しく抱き寄せられて、取っていた距離も無駄になる。Aは少し抵抗するように腕を動かすが、数回すればやめ、ゾムの服を掴み泣きじゃくった。
彼は彼女と話した数時間の間、何度も立場の危うい話をしたにも関わらず気に止めぬ様子で誠を言った。
彼女の無能者に対する猜疑心も恨みも何も変わっていやしないが、何も言わず自分の背中を優しく叩いてくれる彼を否定しない自分がいるのも事実だと彼女は思った。
(ゾムは私が気持ち悪くないの？他の人と違って軽蔑しないの？なんで？)
頭には何個も疑問も懸念も浮かぶ。しかし声に出せるほど、彼女の心は落ち着いていなかったし、涙は止まる事を知らなかった。
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おとーふくん(プロフ) - え、好きです(唐突)Twitterでフォローさせていただいているそれんさん(蒼空)です！めちゃくちゃ冒頭の始まり方が好きです...のんびり待ってるので更新頑張ってください！！ (2021年3月20日 10時) (
レス) id: a466b348e0 (このIDを非表示/違反報告)
御影みかん(プロフ) - ゆーちゃさん» こんにちは！コメントありがとうございます！とっっても嬉しいです！！参考になれるような文をかけている事に少し驚きを隠せません笑、まだ書いた経験が少ないのでまだまだ拙い文ではありますが、これからも読んで貰えると嬉しいです！ (2020年6月15日 16時) (レス) id: acabe9bdaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちゃ(プロフ) - こんにちは！作品見てくださってありがとうございます！この御影みかんさんの語彙力ヤバいですね！参考にさせて頂きます。そして内容。内容も良いですね。課題等頑張ってください。更新待ってます！ (2020年6月15日 9時) (レス) id: 386be5268c (このIDを非表示/違反報告)
御影みかん(プロフ) - あかつきさん» あああありがとうございます！私もあかつきさんのお話はとてもストーリー性や話の運び方が上手ですしとても楽しく拝見させていただいてます！面白いと言っていただけて嬉しいです、頑張ります！！ (2020年2月16日 23時) (レス) id: 3f9567dc9d (このIDを非表示/違反報告)
あかつき(プロフ) - コメ失礼します！！作品お気に入り登録してくれたって通知が来たのでちょっと気になって作品読まさせていただきました…！表現の仕方とても勉強になりますし内容も面白いのでこれからも見させて貰いますね！！ (2020年2月12日 23時) (レス) id: f6ec135c67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御影みかん | 作成日時：2020年1月24日 7時
