君は、泣き虫 (ページ9)

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09：君との距離をページ9

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─── 1年J組(教室)

入学式を終えた次の日の朝

ジェ「A！チューしたい！！！」

『だ、だめっ！』

ジェ「なぁんで！！！？」

いきなり前から抱きしめられるや否や、海外ノリで絡んでくるジェシーくん

二人のおかげで怖さは無くなったけれど、対処法や対策法はまだ見つけられていない

ジェ「……A、俺の事嫌い？」

『……、へ、』

ジェ「昨日、あれから慎太郎に怒られた
もうちょっと距離考えなっつって」

『………』

ジェ「でも俺、見てわかる通りハーフだからさぁ、
あんましそういうの分かんなくて、でも、

怖い思いさせた、ゴメン」

そう言って、凄く悲しい顔を見せるジェシーくん
私は不意に自分の右手がゆっくり動きだして

その手はジェシーくんの頭を、撫でた

『私も、ごめんなさい』

ジェ「Aはなぁんにも悪くないよ」

『ううん、ジェシーくん悲しませちゃったから私も謝る』

ジェ「………俺、何とも思ってない、ぜんぜん
だって、A大好きだから」

ジェシーくんを怖いと思う自分はそれっきり居なくなって、今は"可愛い"って、そんな事を思うくらいになった

─── 休み時間

森本「A見て」

『うん』

森本「神業、やばくね？ねぇ、やばい？」

『やばい』

森本「……似合わないから、やっぱり凄いって言って」

『慎太郎くん、凄い』

慎太郎「じゃあ、次も見てて」

ジェシーくんに注意したって話を聞いてから、いざ話しかけてみればすぐに仲良くなれた

彼の大好きなマリオのゲームを、解説付きでよく見せてくれる

森本「A！赤甲羅来てる、バナナ使って！バナナ！」

『う、うんっ』

森本「ナイスナイス、あっ、もうすぐでゴール！」

『一位だよっ、！？』

森本「まだ気抜いちゃだめ、前見て」

『……は、慎太郎くん！一位っ、！！！』

ゲームのモニター画面には、1位から12位までのランキングが乗ってて、私はその1位だった

森本「A、楽しい？」

『すっごく楽しい！』

森本「………ふはっ、ハイタッチとかしとく？」

『うんっ！』

慎太郎くんの大きな手に、自分の手を合わせた

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▽ルイス・ジェシー

高校1年生。アメリカと日本のハーフ
Aに頭を撫でられるのが好き

▽森本慎太郎

高校1年生。Aの後ろの席
ゲームが好き