君は、泣き虫 (ページ3)

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03：君が頭を撫でるからページ3

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校長先生の話そっちのけで、前三人は小声で喋っていた

"先生にバレたら怒られちゃうよ"なんて不安に思っていると、私の前に座る目黒くんが振り向いてこちらを見てくる

目黒「桃井さん」

私は首を傾げて、なるべくバレないように動作で会話を試みる

そしたらいきなり、目黒くんが私の顔を見て吹き出した

『…な、なにかついてる…？』

目黒「違う違う」

『っ…じゃあ、なんで』

目黒「いや、なんか可愛いなって」

目黒くんの前で喋っていたラウールくんと向井くんも、驚いた顔でこちらを見ていた

私は咄嗟に手で顔を隠した

目黒「えっ」

向井「わはっ、そりゃそうなるわ！」

目黒「康二どういうこと」

ラウ「僕もめめに可愛いって言われたい…」

目黒「え……な「お前らうるさいわ」」

四人は揃って顔を上げる、そこには怖そうな先生が立っていて、私は怖くて涙が出そうになるのを必死に堪える

前に座る3人は、ただ黙って式が終わるのを待っていた

目黒「桃井さん、ごめん」

入学式は無事に終わり、退場を促す放送が体育館に響いたと同時に、前に座っていた目黒くんは申し訳ないと言わんばかりに謝る

そんな目黒くんを前に、私は首を横に振った

『目黒くん、悪くないよ？』

目黒「でも巻き添え食らわせちゃったし、本当ごめん」

そう言って悲しい顔をする目黒くんに、どこか可愛さを感じてしまって、気づけば頭を撫でている自分がいた

目黒「…くすぐったい」

『ふふっ、目黒くん可愛い』

目黒「……それ、全然嬉しくない」

『でも、本当に可愛いんだもん』

この様子を見ていたラウールくんと向井くんが何を話していたのかなんて、そんなの知る由もなかった

ラウ「待って待って待って、なに！？あの幸せな空間…」

向井「あかん、あの二人可愛すぎるって……」

─── 教室に向かうまでの時間(廊下)

(Ren.Ｎ)

深澤「ねぇ、なんで目黒の頭撫でてたの？」

『んー、可愛いかったから！』

渡辺「お前、可愛いとかで男の頭撫でてんじゃねぇよ」

『………渡辺くんはされたら嫌？』

渡辺「絶対嫌」

『～～っ、ふかざわく、ん……！』

俺ら三人の前を歩く、三人
二人は俺らよりも全然、桃井さんと距離が近い

向井「めめ、仲ええなぁって思っとるやろ」

目黒「別に」

ラウ「でも、顔に書いてあるよね」

目黒「書いてない」

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