君は、泣き虫 (ページ18)

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18：君に甘噛み、声聞きたいページ18

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─── 廊下

2時間目が終わってすぐ、私専用の空き教室で着替えて、外で待ってくれている京本くんに一声掛ける

『お待たせしました、っ』

京本「全然待ってないよ、じゃあ行こっか」

『うんっ、』

体育館に向かうまでの間、本当に他愛もない話をする

大体が京本くんのカードゲームの話で、分からないなりに聞いていた

京本「ふっかが本当に強いの
でもね、次は絶っ対に俺が勝つよ」

『ふふ、きっと京本くんなら勝てるよ
応援してます』

京本「ありがと
Aから応援されたし、やるしかないね」

ジャージの袖を捲って、二の腕を見せてくる
細そうに見えて意外にしっかりしていた

京本「あ、今失礼な事思ったでしょ」

私は首を横に振る

京本「嘘だね
顔に書いてあんもん、"意外と筋肉質なんだ"って」

『だって、男の子の腕なんてちゃんと見た事ないもん』

京本「それでもよ
俺だってこう見えてちゃんと男だからね」

『うん、それはちゃんと分か…「分かってないよ」』

曲がり角、誰の目にも止まらないような場所で、いきなり京本くんに抱きしめられて、身動きが取れなくなる

いくらジャージを着てると言っても、体操服のせいでなんだか直接触れてるみたいで、もどかしい

京本「ほら、出れないじゃん」

『っ、京本く……』

京本「"A"ちゃん」

『……ゃぁ、っ』

耳元で囁かれて思わず、変な声が出てしまった

私は咄嗟に口を手で塞ぐ

京本「耳、弱いの？」

『っ、やめ………、』

京本「じゃあ、"大我"って呼んで
そしたら離してあげる」

私は手を退けて、京本くんに少ししゃがむよう誘導する

そして彼の耳元で

『………っ、大我くん、』

─── 体育館

阿部「Aちゃん、身体熱くない？」

宮舘「ん、熱？」

舘様の手が私のおでこに触れる

冷たくて気持ちいい

宮舘「少し熱い気もするけど……」

阿部「えっ、保健室行く？」

私は首を横に振って、阿部くんから離れた

『京本くんのせいだから、！！！』

宮舘「大我？」

阿部「これは、あんまり聞いちゃいけないやつ、かな？」

─── 約5分前

耳元で彼の名前を呼ぶ

約束通り離してくれると思ったら突然、私の耳が何かに噛まれた

京本「声、本当可愛い
ねぇ、もう一回噛んでもい『だめ、っ！！！！』」

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