部のお姫様的ヒロインを助けてしまった件【HQ】

38話 理想の子 ページ40

Aside



上を向くとタイミングよく涙がすっと流れた。


月島「…え」


私がAだと気づいたのか、差し出した腕がびくっと止まった。

彼は私の強気なところしか見たことがないはず
ギャップ萌えを狙う

女優並の演技力でポロポロと涙が流れた


夢『だ、れ？』


気づいてないふりをして彼に捕まった。


月島「っ、」


顔が近寄る。
いつもより丁寧にブラッシングをした髪や、いつもより濃いめに塗ったチークにプルプルした可愛らしい粘膜リップ

……そして涙。


月島の顔はいつものポーカーフェイスなど見る影もないほど真っ赤だった。


夢『(効いてる効いてる！)』



しばらく彼に寄りかかって涙が止まるのを待った


夢『…ごめんなさい、誰かも分からないのに』


ここで目を合わせる！



月島「…え」


驚いている様子。
誰かわかってない設定の方が都合がいいと思ったので急遽作戦変更をした
そっちの方が距離を詰めやすいとも思ったし。


夢『あ、今コンタクトつけてなくて。』


そしてもう一度涙を流す



夢『ごめんなさいほんと、今会ったばかりなのに、ちょっと慣れない環境で、色々あって……』


男はなんと言っても弱い女が好き、というのがまぁ鉄板。

いつか聞いた“理想の女の子”を思い出して演技する



月島の顔には焦りと驚きと安堵が見えた


夢『暇だったら私の話聞いてくれませんか…？』




上目遣い、涙目、敬語、袖をつまむ、そして微かな微笑み

…これで断れないね


月島「……はい。」

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