36話 気まぐれ ページ38
Aside
磨き上げたトイレの鏡に反射した私の顔が写る。
胸まで伸びた黒髪は夕焼けの空に透けてキラキラと光り
気合いを入れて整えた前髪からは毎晩欠かさずケアをしている肌にまつげ、そして唇が見える。
そのぷっくりとした唇を強調させるように色つきのリップクリームを滑らせ塗ると
夢『…よし、準備万端。』
完璧だ
我ながら良い出来栄え。
最後にくるりと回って全体を確認して決めポーズをするといつもより何倍も盛れている私がいた。
夢『あは、今回は私が勝ったも同然ね』
軽い足取りで女子トイレを後にした
────
──
ー
私が“準備”をしている間にもう夕ご飯は終わっていたようで、私以外のマネージャー達がせっせと部員達が使ったお皿を片付けていた。
夢『あ、ごめんなさい遅れちゃって、もう片付けしてるんだよね?』
多少の気まずさを感じながら自己紹介の時に3年生と名乗っていたベテランっぽい見た目のマネの子に話しかけた。
「ええ、そうよ。もうすぐで終わりそうだからそこでお皿を拭いている子を手伝ってあげて、」
メガネの向こう側にある彼女の目は、なんて言うか透き通っていて邪念を感じない、なんとも珍しい瞳だった。
遅れて来た私を咎めもせず、仕事を淡々とこなす姿は凛としていて見慣れない。
まぁとりあえず見たことない系の子だった。
夢『わかりましたー』
振り返ってメガネの子が言っていた金髪ボブの女の子の元へと急いだ
夢『えーっと、向こうにいる先輩に言われてこっち来たんだけどぉ、手伝ってもいい??』
「あ!!は、はい!!」
元気のいい声
カチャっと積み上げられている濡れたお皿を1枚1枚丁寧に拭いていく
──途端に目の前が暗くなった
夢『?ん』
デジャブ
影の方を見るとあの巨大な背がみえる
なんの用なのか、いや、用なんてないのかもしれない。
彼はメガネがなくて私が見えないのか眉間にシワを寄せてじっくりと私をみる
夢『おい、仕事の邪魔だぞ?』
ひとが多いのでできる限りの優しい声で言った。
私の声で気づいたのか眉間のシワがさらに増えた。
月島「なんだ君か」
夢『ひどーい、お皿拭いてただけなのに?』
今度はワザと大きめの声で響くように言った
月島は「チッ 性格悪っ」と吐き捨てるように言うと食堂を出て行った。
よし、場所は覚えた。
高身長男が向かった方角を見て心の中で呟いた。
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あお - こうゆう感じのヒロインちゃん好きです!w面白かったんで次の投稿待ってます! (2022年12月17日 21時) (レス) @page1 id: c241688681 (このIDを非表示/違反報告)
ななサマ - ドロドロ系新鮮で推せる。投稿待ってまーす!! (2022年10月10日 23時) (レス) @page20 id: 3d9458003a (このIDを非表示/違反報告)
もんちゃん - やべー。ヒロインちゃんと名前似てるwwwww後から夢主ちゃんが好かれるタイプの小説大好きだわ (2022年10月9日 15時) (レス) @page2 id: 11775f8b13 (このIDを非表示/違反報告)
URAN - 及川さんが真前でキスしとるんやったら連写するわ。あと主様よこの小説面白すぎんか私大好きです!!これからも頑張ってください。 (2022年9月26日 4時) (レス) @page20 id: 38df0baeed (このIDを非表示/違反報告)
ニコリ - とっても面白くて、続きがたのしみです。 更新を楽しみに待ってます。 (2022年9月6日 22時) (レス) @page15 id: 84fc6c592a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ううさん x他2人 | 作成日時:2022年8月22日 23時